出版社内容情報
一九七八年、久保田悦子はアルバイト先のスナックで、杉千佳代と出会った。舞台女優を目指す千佳代は所属する劇団で、『アナベル・リイ』のアナベル役を代理で演じるが、その演技はあまりに酷く、惨憺たるものだった。やがて、友人となった悦子に、千佳代は強く心を寄せてくる。フリーライターである飯沼と入籍し、役者の夢を諦めた千佳代は、とても幸せそうだった。だが、ある日店で顔面蒼白となり倒れ、ひと月も経たぬうちに他界してしまった。やがて、悦子が飯沼への恋心を解き放つと、千佳代の亡霊が現れるようになる。恋が進展し、幸せな日々が戻って来る予感が増すにつれて、千佳代の亡霊は色濃く、恐ろしく、悦子らの前に立ち現れるようになり――。
内容説明
1978年、初冬。アルバイト先のスナックで、悦子は千佳代に出会った。舞台女優を目指す彼女はひたむきで純粋で、2人は友達になった。だが、人気ライターの飯沼と入籍した幸せの最中、千佳代は急な病に倒れてしまう。友の死後、悦子が心に秘めていた飯沼への想いを抑えきれなくなると、千佳代の亡霊を見るようになる。幸せな予感が増すにつれ、影は一層色濃く、冷たく悦子の前に現れて―。耽美かつ妖艶な、幻想怪奇小説の傑作。
著者等紹介
小池真理子[コイケマリコ]
1952年東京都生まれ。成蹊大学文学部卒業。89年「妻の女友達」で第42回日本推理作家協会賞(短編および連作短編集部門)、96年『恋』で第114回直木賞、98年『欲望』で第5回島清恋愛文学賞、2006年『虹の彼方』で第19回柴田錬三郎賞、12年『無花果の森』で第62回芸術選奨文部科学大臣賞(文学部門)、13年『沈黙のひと』で第47回吉川英治文学賞、21年に第25回日本ミステリー文学大賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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