出版社内容情報
小学一年生の頃から抜群の成績を修め、誰もが「神童」と褒めそやした春之助。だが、十二歳になる頃には家にこもって本を読むばかりで、無口で弱々しい少年となってしまった。才気あふれる息子を誇っていた両親も将来を憂えるようになったが、彼はますます書物の世界へのめり込んでいった。限界を知ったときに新しい世界が広がる、圧倒的才能の物語。
内容説明
小学一年生の頃から抜群の成績を修め、誰もが「神童」と褒めそやした春之助。だが、十二歳になる頃には家にこもって本を読むばかりで、無口で弱々しい少年となってしまった。才気あふれる息子を誇っていた両親も将来を憂えるようになったが、彼はますます書物の世界へのめり込んでいった。限界を知ったときに新しい世界が広がる、圧倒的才能の物語。
著者等紹介
谷崎潤一郎[タニザキジュンイチロウ]
1886年東京生まれ。東京帝国大学国文科中退。1910年、第二次「新思潮」創刊に関わり、同年「刺青」を発表。代表作に『細雪』や随筆『陰翳礼讃』など。1949年、第8回文化勲章受章。1964年に日本人で初めて全米芸術院・米国文学芸術アカデミー名誉会員に選ばれる。1965年没(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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アキ
89
やっぱり谷崎潤一郎の小説は面白い。神童と呼ばれた少年のこころの内を透かしてみせて、その変わりようがリアルに感じる。どれだけ勉学が優秀であっても、人間の煩悩は等しくあり、驕りや蔑み、卑下や羨望で彼の心の中は嵐のように荒れ狂う。最後にたどり着いた境地は、谷崎らしい美への讃美。本文155ページ。字も大きくて、注釈は少なく、解説もない。100分間では読めなかったけど、このシリーズはお手頃でいいですね。2024/05/25
桜もち 太郎
15
さすがのキレの良さだった。13歳小学校で神童と言われた春之助。聖人になることが彼の目標だ。しかし彼の中に芽吹く傲慢さ、慢心が未来に影をおとす。若くして裕福な家の書生となり家庭教師として過ごす。そこで見た華やかな生活、女性の魅力、「女色は卑しむべきものだ。淫欲は卑しむべき感情のだ」と学問で得た知識は崩される。毎夜行う「道徳上の罪悪(自慰)」に耽る春之助。しかしそこは神童、堕ちるところまで堕ちた結果、「本来の使命を自覚し、人間界の美を讃え、宴楽を歌えば、己の天才は真実を発揮する」。どんな大人になることやら。2025/03/04
かつみす
8
春之助は幼少の時から抜群の知力を示し、「神童」と呼ばれる少年。進学したいという希望を叶えるため、貧しい両親は彼を豊かな家庭に預け、書生として務めさせる。学知の世界に生きていた春之助は、衣・食・性など、人の生きる世界の享楽や美へとやがて目を開いていく・・・。滑稽で、浅ましく、理不尽な世間のリアルや人の心の動きが、こってりとしたご馳走のような文章で綴られていく。あまり知られていない、比較的初期の作品だけど、谷崎の鋭い人間観察と豊かな語彙を駆使した文章の見事さを味わえる。角川文庫の新シリーズの一冊、お勧めです!2024/03/26
えつ
7
100分間で楽しむ名作小説シリーズ3作目。初めましての谷崎潤一郎さんでした。幼い頃から「神童」ともてはやされた春之助。天才が限界を知るラストの展開には驚いた。読みやすいとは思うし、面白いんだけど、改行が少なくて、そこで疲れた感がある。これは100分では読めなかったなー。2024/06/22
ジュンコ
6
神童……春之助はこれからどんな大人になるのか。2025/02/15
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