出版社内容情報
職人の男が丹精込めて作った大型の肘掛け椅子。床すれすれまで革が張られ、背面も肘掛けも重厚に作られたその内部に、職人はちょっとした細工を施し、自らが身を隠せるようにしてしまった。椅子に潜んで機を狙い盗みを働こうとした男はやがて、椅子となった自分に革一枚隔てて身を任せた女性に対し、名状しがたい熱情を抱くようになる――。
内容説明
職人の男が丹精込めて作った大型の肘掛け椅子。床すれすれまで革が張られ、背面も肘掛けも重厚に作られたその内部に、職人はちょっとした細工を施し、自らが身を隠せるようにしてしまった。椅子に潜んで機を狙い盗みを働こうとした男はやがて、椅子となった自分に革一枚隔てて身を任せた女性に対し、名状しがたい熱情を抱くようになる―。
著者等紹介
江戸川乱歩[エドガワランポ]
1894年三重県生まれ。早稲田大学卒業。雑誌の編集、新聞記者などを経て、1923年「二銭銅貨」でデビュー。以降、探偵小説を次々と発表。怪奇小説、幻想小説にも優れた作品が多い。代表的なシリーズに、「怪人二十面相」「少年探偵団」など。1965年没(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
麦ちゃんの下僕
124
「人間椅子」「目羅博士の不思議な犯罪」「押絵と旅する男」の3編を収録。字が大きく1ページあたりの文字数が少ないのと、乱歩の“怪奇幻想”を楽しむのに適した作品が選ばれているので、初めて乱歩を読む方にオススメ。ただし原文そのままに「~して了う(しまう)」「それ丈け(だけ)」「併し(しかし)」といった表現が使われているので、その点では(読点の数も含め)修正されている新潮文庫版の方が読みやすいかも?2024/09/09
里愛乍
66
ベストセレクションを持っているにもかかわらず装丁買い。語り部によって展開する三遍から為る本書は文字も大きく内容的にも読みやすく、ホラーな乱歩に興味を持った方の初読本にちょうど良いかも。オチが分かっていても何度読んでも刺激的な表題作、とっても乱歩してるなぁと思わせる2作目、これまたラストの余韻が印象的な3作目。非常に纏まりの良い持ってるだけでも嬉しくなる一冊。2024/08/10
まみこ
15
表題作の他に2作が収録されています。個人的に1番面白かったのはやはり人間椅子でしたが、とてつもなく気味悪い。気味が悪いのにどことなく耽美で、、魅了されました。そしてラストですが「そうか!良かった、良かった。」とスッキリしていいのか、悪いのか、、、読後にも何か粘着質なものが肌に纏わりついてくる。そして椅子の中にはやはり、、、と疑ってしまうような終わり方。江戸川乱歩は初めてでしたが、独特な世界観を持った魅力的な作品でした。2025/06/24
桜
12
なんとも言えぬ気持ち悪さと丁寧な描写。真偽は定かでは無いが、真実に思えてしまう内容だった。2024/08/18
ゆう
12
怖いもの見たさの様な感覚で読んでみたら、さすが江戸川乱歩、絶妙に怖くて面白い。 100分間で楽しむ名作小説と言うのも読みやすくていい! もっと他の作品も読んでみたくなった2024/07/26