出版社内容情報
激しい雨の降る夜、眠る夫を乗せた車で老婆を撥ねたかおりは、轢き逃げの罪に問われ、裁判中に息子、拓を出産する。出所後息子に会いたいがあまり、園児連れ去り事件を起こした彼女は息子との接見を禁じられ、追われるように西へ西へと各地を流れてゆく。自らの罪を隠して生きる彼女にやがて、過去にまつわるある秘密が明かされる。『鳩の撃退法』(山田風太郎賞受賞)『月の満ち欠け』(直木賞受賞)著者による最新長編小説。
内容説明
息子の顔見たさに何かひとつ事を起こせばそのたびにパトカーがやってくる。わたしはこれまで三回パトカーに乗った。そのことが繰り返される。それがわたしの人生になる。わたしはパトカーに乗り慣れた老人になどなりたくないし、そんな母親の姿を息子に見せたくもなかった。そんな母親が自分の産みの母親だと知られるべきではなかった。人生を踏み外した女性の静かな決意。『鳩の撃退法』(山田風太郎賞受賞)、『月の満ち欠け』(直木賞受賞)著者による最新長編小説。
著者等紹介
佐藤正午[サトウショウゴ]
1955年長崎県生まれ。83年『永遠の1/2』ですばる文学賞を受賞しデビュー。2015年『鳩の撃退法』で山田風太郎賞、17年『月の満ち欠け』で直木賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
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乱読太郎の積んでる本棚
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
ミカママ
539
読メでの評判すこぶるよく、本屋大賞ノミネート(発表が明日?)もあり、珍しくタイムリーに読めた。先が気になり一気。「人生を踏み外した女性の静かな決意」との帯どおり。自分で産んだ我が子なのに会うことが叶わない主人公。前科のあることから日本を流れ流れて最後は福岡だ。途中さまざまな人に護られ裏切られ、かおりはひとり息子への想いを胸に暮していく。子どものいる人には間違いなく刺さるし、そうでない人にも「ひょっとして自分にも」と思わせる作品。でもまぁ、わたしならあの状況で電話になんて出ない。絶対に。2026/04/08
fwhd8325
365
素晴らしい作品でした。生意気なことを言えば、完成された作品だと思います。人生の歯車が、ちょっとしたことがきっかけで、大きく狂ってしまう。そうした怖さをはらみながら、物語は淡々と進んでいるのに、私にはとても息苦しく感じられた。これが小説なんだ。文章というものは、こうも人の心を揺さぶってしまうのだろうか。幸せになってほしいという気持ちよりも、歯車が正しく動くように、落ち着くところに落ち着いてほしい、それだけでした。2025/09/29
まちゃ
356
人とは失敗を繰り返し、経験を積んでいくものだと思います。しかし、時として取り返しのつかない過ちにより、人生が暗転することもある、という怖さを感じました。長い暗闇の先に光明がさすような、安堵感のあるラスト。読み応えがありました。良かったです。2026/03/30
うっちー
278
「熟柿」いい言葉です。かおりさん頑張ってと応援します2026/01/06
nonpono
270
久しぶりの佐藤正午。帯より、題名の「熟柿」とは「熟した柿の実が自然に落ちるのを待つように、気長に時期が来るのを待つこと」。交通事故により「人生を踏み外した女性」。獄中で息子を産み、離婚、息子は旦那のもとに。息子に会いたくて学校に行くが、通報されてパトカーへ。主人公は言う。「いつまでも続いていくもの、不変なものなど一つもない。たった一日で人生は変わる」と。聖人君子な人なんていない。完璧を求めるが故に人は狂う。話が出来て聞いてくれるの存在は尊い。そして、人は何歳になっても、人は変わろうと思えば、変われるんだ。2025/12/22
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