出版社内容情報
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【収録作品】
「国民的未亡人」
誰もが知るスター俳優であった夫を亡くした私は、一般人にして有名「未亡人」となった。
夫との美しい思い出とともに逗子で静かな暮らしを送っていたが、没後三年の追悼特番に出演するため都内のテレビ局へ向かう。
「ただ君に幸あらんことを」
大学受験期に僕が母から受けてきた酷い仕打ちを、今は六歳下の妹が受けている。
一人暮らしの家に妹を避難させ、母との間に入って守ろうとするが、僕自身の傷がうずき出していた。
内容説明
ラランド・ニシダによる家族小説。「国民的未亡人」誰もが知るスター俳優であった夫を亡くした私は、夫との美しい思い出とともに逗子で静かな暮らしを送っていたが、没後三年追悼特番組に出演することになり都内のテレビ局へ向かう。「ただ君に幸あらんことを」大学受験期に僕が母から受けてきた酷い仕打ちを、今は六歳下の妹が受けている。一人暮らしの家に妹を避難させ、母との間に入って守ろうとするが、僕自身の傷がうずき出していた。
著者等紹介
ニシダ[ニシダ]
1994年7月24日生まれ、山口県宇部市出身。2014年、サーヤとともにお笑いコンビ「ラランド」を結成。23年、初の小説集『不器用で』を刊行(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
桜もち 太郎
18
ラランドニシダが書く中編二作品。読みやすく登場人物たちの心の深み、痛手を感じ取ることができた。「国民的未亡人」の読み始めは何か物足りなさを感じたが、それさえ作者の意図であるような気がして、死んでしまった夫の裏切りに揺れる未亡人の心情が上手く描かれていた。「ただ君に幸あらんことを」は、大学受験に挑む妹が母親から受ける仕打ちは、精神的虐待といってもいいレベル。何が母親をそうさせるのか、子どものため?見栄のため?兄妹に対する執着には憐れさを感じる。四人家族それぞれのバックボーンをもう少し掘り下げて欲しかった。2025/02/01
カリスマ
12
『国民的未亡人』…国民的スターである夫の追悼特番に出演した際の共演者の一言から、今は亡き夫の本当の人物像に迫る未亡人の話。他者がどう言おうと自分の思うことを信じる強さ、最も近い存在である家族との向き合い方が描かれている。『ただ君に幸あらんことを』…いわゆる毒親から受験期の妹を守ると同時に、親の言いなりに育ってきた自分の過去と決別する兄の話。子を支配しようとする母・寡黙な父・弱さを見せない妹の間を不器用ながら取り持とうとする兄の繊細な心情描写が的確で、兄視点から描かれる妹を見ていると胸が苦しくなった。2025/02/20
kana
10
クズ扱いだけど読書芸人として知られているニシダの著書、初読みでした。表題作の兄妹の辛くもどかしい状況が上手く表現されていて、読んでいてとても息苦しくなった。親がどんなに嫌いでも苦手でも、親の思いもかなえてあげたい気持ちと認めてほしい気持ちが拭えない部分もある。親子って、家族って難しい。せめて子供だった頃の気持ちを忘れない親になりたいものだなとしみじみ思った。2025/02/28
chiyamofu
6
佐久間さんのYouTubeでサーヤさんが褒めていたので買いました。どちらもよかったですが表題作がよりよかったです。「不器用で」も読もうかな2025/03/08
はやみず
5
家族関係なんて、どうしたって救われないよね。二作品とも読んで、自分の経験も振り返って、改めてそう思う。家族ってだけで、どうも分かった気になるし。分かった気になってるから、違うことをされると慌てるし、なんだか裏切られた気持ちになる。結局、そういう関係のまま続いていくものだから。だからこそ諦めがついていて、せめて祈ることしか出来ないっていうお兄さんの行動は優しいなあと思った。2025/02/13