出版社内容情報
嵐の夜、「ある仕事」を終えた男たちを乗せて一台の乗用車が疾走していた。峠に差し掛かった時、土砂崩れに巻き込まれて車は横転。仲間の一人は命を落とし、なんとか生還した五人は、雨をしのごうと付近の屋敷に逃げ込む。しかしそこは不気味な老婆が支配する恐ろしい館だった。拘束された五人は館からの脱出を試みるが、いつのまにか仲間の中に「化け物」が紛れ込んでいるとわかり……。
怪異の正体を見抜き、恐怖の館から脱出せよ!横溝正史ミステリ&ホラー大賞受賞作家が放つ、新たなる恐怖と謎。
内容説明
嵐の日、土砂崩れに巻き込まれて車が横転、仲間の一人が死んだ。生き残った五人は近くに住む金崎家の屋敷に招かれるが、おんめんさまという道祖神を信仰する金崎一家に、纂奪者と罵られ命を狙われる。屋敷からの脱出を目指す中、ふと一人が呟いた。「俺たちは今、何人だ?」車は五人乗りで、死んだ男も含めた彼らは五人組のはずだった。増えたのは人か、あるいは化け物か―。疾走する一気読み必至のクライムミステリホラー!
著者等紹介
原浩[ハラコウ]
1974年生まれ。長野県出身。2020年「火喰鳥」で第40回横溝正史ミステリ&ホラー大賞“大賞”を受賞。同作を改題した『火喰鳥を、喰う』でデビュー(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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ヒデキ
67
クルマ屋さんで定期点検を待っている間に 一気読みしてしまいました。 クローズドサークルになった山荘で 強盗をした5人組が、いつの間にか6人になっている というパターンを組み合わせて お互いに疑心暗鬼な状態になっていくみんな その中で暗躍する「やまのめ」 ありがちなパターンの話かな?とも思いましたが スピーディな展開で一気に持っていってくれました。 著者の別の作品も読んでみたいです 2024/04/11
オーウェン
60
嵐によって起こった土砂崩れで、5人乗りの車が山で遭難。 そこで助けられた兄弟が住む小屋に避難するが、そこでは悪夢のような出来事が。 この5人が強盗で盗んだダイヤを巡って争い、尚且つ住人達も争いに巻き込んでいく。 更には5人のはずがなぜか6人目がおり、それが誰なのかを推理していくミステリ。 やまのめというホラー部分もあるが、そこまで登場人物が多くないので、ミステリとしてはかなり優しいつくり。 ホラーもそこまでゾワッとしないし、佳作の域に終わった感じ。2024/02/06
眠る山猫屋
59
五人の強盗たちが山奥で事故に。助けてくれた兄弟はどうやら追い剥ぎのようだが、いつの間にか五人は六人になっていて・・・。アメリカンカントリーホラーと日本的な妖怪譚がミックスされたような盛り込みが楽しく(?)ないはずが無い。章立て毎に一人づつ減っていくわけだが、さて怖いのは妖怪か山賊一家か、はたまた狂気に揺さぶられていく人間か。妖怪“やまのめ”が写し出す鏡像と各々が抱えた深い闇が乱反射するようで、目眩くらくら。楽しめた。2023/12/23
HANA
53
山中で嵐に会い遭難した「六人」。地元の人間に助けられるものの、招かれた屋敷には…。という一見田舎ホラー。ただそれだけだと凡百の設定になる所を、助けられた人間が素直に協力できない設定と、いつの間にか一人増えている仲間が誰かという謎が本書を唯一無二の物としている。こういう利益が相反する人間が極限状態に陥るのも、案の定の状態になるのも大好物なので嬉しい限り。ただ伏線を読もうにも信頼できない語り手による事故当時の状況やら館の人間の強烈なキャラクターとかでなかなか集中できないんだよな。時間をおいてまた読み返したい。2025/05/29
キナコ
33
めちゃくちゃ面白くって一気読み。民俗学ベースのホラー。雪山の怪異を思い出した作品。登場人物たちの視点でストーリーが進んでいくが、騙されに騙されたため読了後の満足感が凄かった。これぞ怪異って感じ。エピローグも想像が書き立てられる。今後も注目していきたい作者。2024/04/24