出版社内容情報
長年仕えていた油屋をいわれのない疑いによって去ることになった喜助。失意のうちにいたが、自身の経験から“米に代わる常食”を作って商うことを思いつく。そんな折、見聞を広めるために訪れた長崎で出会った「ぱん」。これこそ米の代替食になると感じた喜助は、帰府してすぐに同じものを作ろうとする。しかしどうしても「ふわふわ」にならない……。果たして江戸で「ぱん」は焼けたのか。前代未聞、江戸の「ぱん屋」開店記!
内容説明
長年仕えていた油屋をいわれのない疑いによって去ることになった喜助。失意のうちにいたが、自身の経験から“米に代わる常食”を作って商うことを思いつく。そんな折、見聞を広めるために訪れた長崎で出会った「ぱん」。これこそ米の代替食になると感じた喜助は、帰府してすぐに同じものを作ろうとする。しかしどうしても「ふわふわ」にならない…。果たして江戸で「ぱん」は焼けたのか。前代未聞、江戸の「ぱん屋」開店記!
著者等紹介
大平しおり[オオヒラシオリ]
小説家。岩手県盛岡市出身。菓子会社、博物館勤務を経て2013年に『リリーベリー イチゴショートのない洋菓子店』(メディアワークス文庫)でデビュー(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
シナモン
99
いわれのない疑いをかけられ奉公先を辞めることになった喜助。ひょんなことから長崎へ出向くことになり、そこで出会った「ぱん」に感動。なんとか自分の手で作ろうと奮闘する物語。江戸の風情もたっぷり感じながらの読書タイム。新しいものを作り出す勇気と努力、喜助の誠実で飾らない人柄に読んでて応援したくなる。喜助を支えるまわりの人たちの人情も温か。読後感爽やかな一冊でした。 2024/04/02
楽駿@新潮部
26
読書会仲間本。パンが何時の時代から、広く行き渡るようになったのか?江戸時代、まだまだ貴重なものだったのかも、と思っていたが、考えてみれば、当時、私の住まう地域でも小麦は日常的に作られていて、ちょっとしたきっかけで、酵母と出会う事もあったのかもしれない。非常食と考えたなら、確かに煮炊きをしないと口に入れる事ができないし、腐敗する速さもあるので、おにぎりよりもパンは重宝したのかもしれない。やっと、パン屋の店開きで終わっているので、続きもあるよね?どんな風に、江戸にパンが広がっていくのか、先がとても気になる。2024/06/28
むつこ
24
表紙のイメージからパン屋を始めた夫婦の話だと思ったら全然違った。奉公先からやめるように仕向けられた主人公が、何か商売をしたいと思いついたのが「パン」で、パン屋を始めるまでのお話だった。パンを作るまでの過程、現代なら誰もが知っていることも完成するまでいろいろと大変、面白かった。パンの前にドーナツを作る、どっちも良い匂い。初めて嗅いでも市井の民もおいしそうに感じただろうな。2024/05/31
じお
9
★★★☆☆ 長年勤めていた油屋を、些細な事から不興を買い辞めることになった喜助、落ち込みながらも父の教えから、食べ物の商いを始めようと考え、友人や、馴染の卸先だった店の娘の勧めに従い長崎まで足を伸ばすことに、そこで出会った「ぱん」に魅せられた彼はこれを商いしようと考えるが、実質どーなつ屋物語の江戸の「ぱん屋」開店記。面白かったです、全体的に文章が読みやいし、キャラも変なクセがあまりなく、気持ちよく読める作品だったなと思います。話の中心となる主人公とヒロインも割と好感が持てるし、→2024/11/25
ふみえ
8
子供の頃、初めてバターが塗られたフランスパンを食べ、感動したことを思い出した。今でこそ日常に当たり前にあるものだけれど、どうやって受け入れられてきたのか、もっと知りたくなった。2024/05/16