出版社内容情報
江戸の本所で「福助」という縄暖簾の見世を営む女将のおあきと弘蔵夫婦。心配の種は、武士に憧れ、職の落ち着かない息子、良助のことだった…。ついに、良助は上野の彰義隊の一員として上野の戦に加わるという。無事を祈るおあきたちだったが……。幕末の世、市井に生きる人情と人生を描いた長編時代小説が新装版にて登場!
内容説明
江戸の本所御竹蔵の北側にある石原町で「福助」という見世を営む女将のおあきと弘蔵夫婦。心配事は、侍に憧れ職の落ち着かない息子・良助のことだった。彰義隊に身を投じた良助は、上野の山の戦に加わると言い、最後の挨拶にやってくる…ただひたすらな親の祈りは届くのか。江戸から明治への時代の激流は、人々の人生を容赦なく呑み込んでいき―。激動の時代を、市井の人々の視点からダイナミックに描ききった感動長編!
著者等紹介
宇江佐真理[ウエザマリ]
1949年、函館市生まれ。函館大谷女子短大卒業。95年、「幻の声」でオール讀物新人賞を受賞し、デビュー。2000年、『深川恋物語』で吉川英治文学新人賞、01年には『余寒の雪』で中山義秀文学賞を受賞。人情味溢れる市井物を中心に幅広く時代小説を手がけ、多くの読者を魅了しながらも15年11月、惜しまれつつ逝去(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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Y.yamabuki
22
縄暖簾の見世「福助」を営む家族と常連客という市井の人々の視点で明治維新前後を描いていて興味深い。この家族のあれこれの合間に世情を描く部分が差し挟まれる。女将のおあきと夫の元武士で今は岡っ引きの弘蔵、嫁にいく娘と夫、それに常連客達。皆良い人達なんだけれど、そこでその台詞と思ってしまうところが所々に…。物語全体としては面白く終盤息子を思う夫婦の気持ちが切ない。宇江佐さんの史実を基にした作品を読むのは二作目だが、市井ものの方が好み。何れにしても、もう新たな作品が読めないのが寂しい。2024/04/22
ごへいもち
10
一気読み。史実っぽいところは飛ばしました2024/03/29
ERI
1
長かった…時代は江戸から明治への権力争い 軸は武家から町民となった弘蔵家族の人生模様 親子の情 男女の情 友情は時代が違っても変わることはない ただ宇江佐真理の描く女性主人公は気が短くて自己主張が強い…ちょっと極端で今回も感情移入しづらく馴染めなかった2025/04/06
ぷらった
1
14年前の再読。江戸から明治に移る混乱の時代に生きる庶民,武士の世界が綴られている。人々が懸命なだけに,ものがなしさも漂う秀作だと思う。2024/01/15