出版社内容情報
世界的な評価を受ける若き画家・宇佐美の個展で、義父を描いた作品が無残に破壊されるという事件が発生。ナイフで切り裂かれ、硫酸をかけられたその惨状はまるで、同様に破壊された巨匠・レンブラントの「ダナエ」に酷似していた。脅迫電話をかけてきた容疑者は少女で、これは予行演習であると告げる。宇佐美は、妻が前の夫のもとに残してきた一人娘が容疑者ではないかと推測するが……。犯行は義父への恨みによるものなのだろうか?(「ダナエ」)
不世出の偉才・藤原伊織による、珠玉の短編集。
内容説明
国内外で注目される画家・宇佐美の個展で、義父の肖像画が刃物で切り裂かれ硫酸をかけられる事件が発生。修復不能なほどの惨状は、かつてレンブラントの傑作『ダナエ』を襲った事件と酷似していた。少女と思われる犯人は電話で、これは予行演習に過ぎないと告げる。宇佐美は、妻が前夫のもとに残してきた娘による犯行ではないかと推測するが…(「ダナエ」)。不世出の偉才が描き出す珠玉の中短篇を3篇収録。
著者等紹介
藤原伊織[フジワライオリ]
1948年、大阪府生まれ。東京大学文学部仏文科卒業。広告代理店に勤務する傍ら、執筆を始める。85年「ダックスフントのワープ」で第9回すばる文学賞を受賞。95年、「テロリストのパラソル」で第41回江戸川乱歩賞を受賞。同作品は翌年、第114回直木賞も受賞した。2007年、食道癌のため59歳で永眠(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
鈴木拓
27
表題作を含む3編のハードボイルドミステリーは、藤原伊織ワールド全開の傑作だった。ダナエは、絵画、ギリシャ神話の面白さに魅せられながら、次々と変化する物語に引き込まれて読む手が止まらなかった。読後の納得感も最高。まぼろしの虹の複雑な人間模様、水母、いずれも短編でありながらも、それぞれが本を一冊読んだのと同じくらい満足できる濃い作品である。すべての共通することは、藤原伊織氏の作品には無駄な言葉がないということだと思う。ある部分はしっかり描くが、一方は読者に想像させる、そのバランスの絶妙さが素晴らしいのだ。2023/12/31
鈴木 千春
3
「ダナエ」義父の肖像画が破損された。レンブラントの傑作ダナエを襲った事件と酷似「まぼろしの虹」再婚同士の連れ子である姉と弟の会話から「水母」別れた妻の水母のインスタレーションをみた後に男に話しかけられる。 読書会で、男性陣が大絶賛した。 私の感想❢ 主人公の男共の浸り方❢なるほど納得❢ いつもの私は主人公に同調しながら読み進む。 この主人公達は、身近にいるとしたら、「ケツ!気取りやがって❢」の方々❢ 著者の作品は数冊読んだ記憶があるが、 こんな作風だっけ? 他作品をもう一度読んでみるかぁ〜2024/01/03
すずな
1
★★★★☆ 再読。短編なのに、このキャラクターの厚みと深みときたら。単純に「生きてる」2023/10/19
S順子
0
「テロリストのパラソル」がとても良かったので、見つけると読んでる作家さん。基本、短編集は余り好きじゃないけれど、藤原伊織なので即購入。久しぶりを味わった。作品が少なくて、もう新たな出会いは無いかと思ってたので。みんな好き。2024/02/05
古山 雅一
0
あんまりおもんなかったなあ。。 次に期待!