出版社内容情報
大学卒業直前に婚約破棄され、就職する同級生から取り残された富士。彼女が出会ったのは、社会からはみ出した小劇団。才能溢れる劇団員に欠けているもの=”常識”を武器に富士は居場所を見い出せるのか?
内容説明
双子の姉兄と弟妹の間で育った龍岡富士は幼い頃からいつも調整役。将来の夢もないまま迎えた卒業式の夜、富士は運命の劇団「バーバリアン・スキル」に出会ってしまった。抜群の才能を持つ役者陣がいながら実務能力皆無の劇団を前に、富士が初めて自覚した“自分の気持ち”は「もう一度、この劇団の公演が観たい」―問題は山積み、だけど必ず幕を上げてみせる!社会の荒波に好きという気持ちだけでぶつかる、息もつかせぬ青春小説!
著者等紹介
竹宮ゆゆこ[タケミヤユユコ]
1978年東京都生まれ。2004年「うさぎホームシック」でデビュー。「とらドラ!」がアニメ化され話題となる(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
よっち
41
実家では上と下の双子に振り回される生活を送り、大学卒業直後には婚約者も就職先も住む場所さえなくなってしまった富士。ふとしたきっかけから弱小劇団の運営にのめり込んでゆく青春小説。大学卒業後に親の勧めでお見合い結婚する予定が白紙にされて、その傷心を友人だと思っていた同級生たちに全否定された富士。そこからどう考えても破綻寸前の弱小劇団バリスキに魅せられてのめり込んでゆく彼女が、ほんとにその選択でいいの?を何度も突き付けられながら、それでもハイテンションで最後まで駆け抜ける展開には著者さんらしさがよく出てました。2023/07/22
星野流人
33
大学卒業式の夜にして人生どん底、から始まる急転直下の演劇物語。とにかくアクの強すぎるキャラクターたちが好き勝手に暴れまくり騒ぎまくる中、身一つで飛び込んできた富士があれこれトラブルを薙ぎ払って突き進んでいく。とにかく勢い全開、トラブル満載、ズタボロになりながらそれでも「生きたい!」「演劇やりたい!」という想いだけ抱えて駆け抜ける、とんでもない作品でした。個人的にはバリスキの花形役者にして豪快女、蘭さんがお気に入りでした。2023/09/24
なみ
19
双子に挟まれて育った龍岡富士が、終わりかけていた劇団「バーバリアン・スキル」を立て直していく話。 役者としてはすごい人たちが揃っているのに、お金や事務のことに関してはダメダメな劇団は、果たして生まれ変わることができるのか。 南野がハチャメチャで最高でした。 富士との、噛み合ってるんだか噛み合ってないんだかよくわからない絶妙な会話が好きすぎる。 トラブルだらけの公演もすごくよかったです。富士が輝いてました!2023/08/03
れもん
14
図書館本。面白かった…んだけど、なんか物足りない。これだけのページ数だから、もう少し深みのある話を期待していたため、なかなか読み進められなかった。クセの、というより、アクの強いキャラばかり。会話がくどいなと思うシーンが多々あった。それでも、消滅寸前の劇団を復活させようと奮闘する主人公には元気をもらったし、最後の公演のシーンはドキドキしながら読んだ。明るいストーリーを読みたい人にはオススメ。2023/10/23
at@n
6
小劇場が好きだったり関わった経験がある人は劇場や劇団員たちのリアルな描写に驚くだろう。丹念に取材されたらしい。主人公は幼少期から自分の役割をわきまえて生きてきたのだが、劇団「バーバリアン・スキル」との出会いで自分の中の色々な感情に気づいていく。爽快感のある成長譚だ。2023/10/16