出版社内容情報
街の片隅にある小さな医院、保泉クリニック。院長の代替わりを機に始まったのは、過敏症の人向けの特別外来だ。
特定のにおいで頭痛が起こるWEBデザイナー、早期退職した夫との時間が増えた途端、体調を崩しがちになった主婦、ある日突然味覚障害になった料理人……。
様々な悩みを抱える患者たちを出迎えるのは、仏頂面で不愛想な女性医師と、優しいけれどおっちょこちょいな男性看護師という、ちょっと変わった2人だった。
心温まる新感覚医療小説、開幕!
内容説明
街の片隅の小さな医院、保泉クリニック。院長の代替わりを機に始まったのは過敏症の人向けの特別外来だ。特定のにおいで頭痛が起こるWEBデザイナー、夫との時間が増えた途端、体調を崩しがちになった主婦、味覚障害になった料理人…。様々な悩みを抱える患者たちを出迎えるのは、仏頂面で不愛想な女性医師と、優しいけれどおっちょこちょいな男性看護師という、ちょっと変わった2人だった。心温まる新感覚医療小説、開幕!
著者等紹介
仙川環[センカワタマキ]
1968年、東京都生まれ。大阪大学大学院医学系研究科修士課程修了。大手新聞社在籍中の2002年、『感染』で第1回小学館文庫小説賞を受賞し作家デビュー(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ノンケ女医長
119
もちろん、どの診療科も固有の難しさがあるけれど、当該科はなんと言っても「主張の強さ」「周囲との不和」が起きやすく、適切な配慮がないと苦痛が取り除かれないと分かっていても、支援の継続はあまり現実的にはなりにくいという特徴を、上手く小説に仕立て上げられている。ここに着目した著者は、さすが。こんな丹念に、持ち出しも覚悟しながら症状の改善にひたむきな医師が実在すればいいんだけどね。タイトルの「カナリア」、なるほどと思うけど、診療はほぼ診察室の外だから、内容とやや不一致な印象もあった。2025/05/31
Karl Heintz Schneider
98
一見可愛らしい表紙絵のイラストに見えるが,よく見ると中央の女性は仏頂面をしている。そんな不愛想な女医・保泉則子と愛想のいい男性看護師・レン君。まるで頑固おやじと人好きのする女将みたいなこのコンビで様々な悩みを訴える患者の悩みを癒してゆく。でも、彼女自身がこの専属医になったのにもワケがあって。におい、音、味・・・さまざまな過敏症の人々が登場する。神経質、気にしすぎ、そう言われることが一番辛いという。そんな彼らに真剣に向き合ってくれる保泉。このような医師はなかなかいないのではないか。家の近くにあったら嬉しい。2024/06/10
萩
90
体調が悪いのに、病院に行って「特に異常はない」と言われて終了したことが何度もある。じゃあこの症状は何?そこに答えは見つからず、病院に失望することは数知れず。『カナリア外来』こと保泉クリニックは、過敏症外来を設け、音や匂いや味覚に悩む患者さんに寄り添うクリニック。不愛想だけれども気休めを言わず、行動派の先生はなかなか頼りになる。本を読んでいて羨ましくなった。過敏症以外にも、きめ細かな特別な外来がもっとメジャーになればいいのに。命にかかわらないけれども苦しい症状にもっと理解と解決法があればいいのに。2025/01/05
ハゲおやじ
86
人には なかなか理解されない症状に特化した医療に 癖のある医師や看護師が取り組む内容。5つの短編で構成。私自身が そうなったら…と考えると こういう病院があると助かるのだが… って、”処方箋のない…”の後に読んだので 単純な私には キャストを入れ替えただけの様に感じてしまった(私の勝手な感覚ね)。でも、3章は いきなり則子の過去が描かれていて ちょっと違うけどね。私の自己中心的な考えでは、本作は トライ的なもので 続編は無いのかなぁと思った(くどいけど勝手な妄想ね)。2024/12/08
ゆいまある
85
化学物質過敏症などを扱う外来の話。文体も「これ経」みたいに軽く読みやすい。内科開業医として収入を得て、この特殊外来は持ち出しでやっているという設定。コストのことや時間外に誰が会計するかまで医療現場に迫って書けている。作者は元医療ジャーナリストらしい。香害に悩む人は発達障害か発達グレーで、しかも鬱状態を伴うことが多いというのが私の印象だが、そういう過敏な患者さんを面倒がらずに話を聞き、何ならその過敏さを他の人の役に立てる展開が目新しくて良かった。是非続編も書いて欲しい。全く期待せずに読んだのに楽しめた。KU2025/07/24