出版社内容情報
単身赴任中の父と3か月を過ごすため、高校生の瀬里琉唯(るい)は母・妹とともにウクライナに来た。初日の夜から両親は口論を始め、琉唯は見知らぬ国で不安を抱えていた。キエフ郊外の町にある外国人学校にも慣れてきたころロシアによる侵攻が近いとのニュースが流れ、一家は慌ただしく帰国の準備を始める。しかし新型コロナウイルスの影響で一家は自宅から出ることができない。帰国の方法を探るものの情報が足りず、遠くから響く爆撃の音に不安と緊張が高まる。一瞬にして戦場と化したブチャの町で、琉唯は戦争の実態を目の当たりにする。
内容説明
2022年2月、キエフ郊外―戦争なんて遠い世界の話だと思っていた。日本の高校生・琉唯の凄絶な体験を描く「実録的」小説。
著者等紹介
松岡圭祐[マツオカケイスケ]
1968年、愛知県生まれ。デビュー作『催眠』がミリオンセラーに。大藪春彦賞候補作「千里眼」シリーズは累計628万部超。「万能鑑定士Q」シリーズは2014年に映画化、ブックウォーカー大賞2014文芸賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
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乱読太郎の積んでる本棚
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
starbro
253
松岡 圭祐は、「高校事変」中心に読んでいる作家です。ノンフィクションのようなリアル・ウクライナ小説、かなり現実に近く?読んでいて憂鬱になりました。 NoMoreWar!LOVE&PEACE♡ https://www.kadokawa.co.jp/product/322205000280/2022/08/20
いつでも母さん
188
「実録的」小説とある。ノンフィクションではない。2022年9月現在、TVや新聞から知るウクライナ情勢が脳裏にあって、突然始まった戦争状態に巻き込まれた日本人の女子高生・琉唯と、その家族の数日間の事が地獄絵図と受け取った。ロシアにいたらまた別の小説になったのだろうか‥3ヶ月だけと母親が娘たちを連れて、夫が単身赴任中のウクライナに行くのは離婚のためだったと言うのは何ともな話で。あの状況で一家が再会できたのは奇跡。そして最後は日本と云う国の、現政府の暗部を見た思い。ここに綴られていることは多分現実なのだろう‥2022/09/06
きみたけ
164
ノンフィクションかと思い込み図書館で借りました。著者は、デビュー作「催眠」や「千里眼」「高校事変」シリーズの松岡圭祐氏。ウクライナに短期留学していた17歳の女子高生が突如戦争に巻き込まれていく様を描いたノンフィクション風リアル小説。冒頭に、状況や日時・各事態の発生場所に関し可能な限り網羅し、帰国者の証言などを併せできるだけ正確を期したとあるので、ウクライナにおける一定のリアルな惨状を映し出していると思われます。戦争で一般市民を巻き込むのは論外、どんな言い訳も通じないと考えさせる一冊でした。2022/10/22
absinthe
133
うーん。いまいち。今ウクライナを書けば売れるという商魂が強く出すぎたか。戦火の中を逃げ惑う少女2人の目線で見たウクライナ。ロシア軍の動きにそれらしさがまったくない。悪名高いロシア軍も戦闘初日に略奪や狼藉を始めるとは思えない。士気が低下したのは戦闘が長期化したからだ。別の時期に起こった事実を無理に詰め込んだようだ。洞察なく情報だけで描くとこうなるという悪い見本。この作者、もともと情景が浮かびにくい文体なのだが、この作品には合ってない。思想というものが感じられないのが痛い。2023/03/07
モルク
128
父が赴任しているウクライナに高2の琉唯は三学期の3ヶ月母と妹と共に滞在する。キナ臭い雰囲気はあったものの、遂に勃発したロシアとの戦争。帰国もなかなかできずしかもコロナ禍、妹が感染し身動きがとれなくなる。次第に迫るロシア軍、ついに…一般人をも標的とし容赦ない攻撃。まわりの人も次々と撃たれ、道路に溢れる死体、目隠しをされ銃殺される人、蔓延る強姦、理不尽だけどこれが戦争。中盤以降はドキドキしっぱなし。東日本大震災もだけど私達が目にしてるのはほんの一部。オブラートに包まれている。真実を見抜く力をつけねば。2022/10/22