出版社内容情報
劉 慈欣[リュウ ジキン]
著・文・その他
大森 望[オオモリ ノゾミ]
翻訳
古市 雅子[フルイチ マサコ]
翻訳
内容説明
突然空に現れた宇宙船。次々地球に降り立った神は、みすぼらしい姿でこう言った。「わしらは神じゃ。この世界を創造した労に報いると思って、食べものを少し分けてくれんかのう」。神は老後を地球で暮らすことを望んでいた。
著者等紹介
劉慈欣[リュウジキン]
リウ ツーシン。1963年生まれの中国人作家。発電所でエンジニアとして働くかたわら、SF短篇を書き始め、99年、中国のSF雑誌「科幻世界」でデビュー。銀河賞を連続して受賞し、『三体』が2008年に単行本として刊行後に大ブレイク。15年、ケン・リュウによる英訳版『三体』がアジアの作品として初めてヒューゴー賞長編部門を受賞
大森望[オオモリノゾミ]
SF翻訳家、書評家、「ゲンロン 大森望SF創作講座」主任講師。1961年生まれ、京都大学文学部卒。責任編集の『NOVA 書き下ろし日本SFコレクション』(河出文庫)全10巻で日本SF大賞特別賞と星雲賞自由部門をW受賞
古市雅子[フルイチマサコ]
1996年から単身北京大学に留学。北京大学中文系比較文学与世界文学専攻博士(文学)。北京大学准教授。北京大学外国語学院明治大学マンガ図書館分館館長(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
パトラッシュ
202
劉慈欣は信じられないほど多くの引き出しを持っている。ひとりで筒井康隆や小松左京、藤子・F・不二雄やブラウンらの得意な分野を自在に書き分け、しかも読者をうならせる出来栄えなのだから。SFテイストたっぷりのトンデモ設定からナンセンスやシリアスな、あるいは「すこしふしぎ」なドラマに発展し、最後は人類の未来を考えさせる文明論的展開に至る。あまりにも壮大な『三体』ではストーリーが錯綜して理解不能になることもあったが、短くスリリングに進む短篇だからこその迫力と魅力あふれる話になる。今後も優れた作品の誕生を予感させる。2022/10/10
absinthe
158
5話の短編。いくつか『三体』に通じるアイデアも見られる。各話は他の話とわずかにクロスオーバーしている。表題作が秀逸で、食べ物を恵んでくれと地球に押し寄せる老いた宇宙人の姿が来るべき未来を予感させる。宇宙人のユーモラスな描写、人間の醜さも良く描けているが温かみも感じさせる。そういえば中国は日本以上に少子高齢化が懸念されている。『扶養人類』は富の配分の難しさを語る面白い作品だが、ちょっと説教臭くなった。蟻と恐竜の奇妙な共生社会を描いた『白亜紀…』も良かった。谷川流のようでもあり筒井康隆のようでもある異才。2022/12/15
KAZOO
140
欧米系のハードSFに比べると非常にソフトな感じがしました。「三体」の作者によるSF 短編集で二冊にまとめられているうちの1作目で5作が収められています。読んでいて昔中国などの話で出てきた桃源郷などの話を思い出しました。表題作などコミック的な感じがします。蟻と恐竜の関係の話もよくまあ考え付いたという気がします。2022/10/08
ゆのん
90
色々なジャンルの本を読む私だが、かなり気合いを入れないと読めない程に苦手なのがSFだ。映画だと好きなのに本になると何故か心の底から拒否してしまう。克服する為に読んだのが『三体』。面白かったので再び同著者の作品にチャレンジ。今回は短編だったのでかなり読みやすかった。『老神介護』『扶養人類』『白亜紀往事』の3作が特に良かった。読みどころはSFならではのスケールの大きさと、思わず仰け反ってしまう程の発想力。何処かに実在している世界を実際に見てきたかの様な描写に驚かされる。2022/09/14
ひさか
87
1999年から2005年に発表された老神介護、扶養人類、白亜紀往時、彼女の眼を連れて、地球大砲、の5つの短編を2022年9月角川書店から刊行。流浪地球と本作と2冊同時刊行。老神介護と扶養人類、彼女の眼を連れてと地球大砲のそれぞれが繋がるところが面白い。いずれも楽しいアイデアのお話です。2022/12/05