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出版社内容情報
死にたがりの少年・桃矢はある日「ハチ」という少女に命を拾われる。「ダイハチ」という警察の下部組織を管理すハチに「イレギュラー」という特殊能力があることを見出され、桃矢は裏社会を探ることになって……。
内容説明
他人の感情、痛み。それを感じる不可解な「能力」に嫌気が差して僕は線路に飛び出す。生きる事に意味を見いだせない。適当に捨てようとしていた命を―ハチと名乗る少女が拾った。「いらないなら、くれよ。私に」「欲しいんですか。こんなのが」ハチが僕を連れて行ったのは警視庁特殊捜査班“ダイハチ”。それは警察が表立って動くことのできない裏の事件を秘密裏に捜査する機関だった。「君のその能力、そしてその命は、私にとっては必要だ」傲慢で尊大で、けれど不思議な魅力を持った少女が差し出す危険な任務を引き受け…ただの高校生だった僕は、安土桃矢は、いずれ「何者か」になれるような気がした。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
よっち
32
他人の感情を痛みに感じる能力に嫌気が差して線路に飛び出した安土桃也を止めた謎の少女ハチ。彼女に警視庁特殊捜査班ダイハチに誘われる現代異能クライムサスペンス。表立って動けない事件を秘密裏に捜査する機関で、傲慢で尊大で不思議と魅力的なハチの指示を受け捜査に関わる桃也。彼が新宿で出会うクラスメイトだったはずの、けれど名前も忘れて何もかもを諦めた少女を、身の危険も顧みず何とか救い出そうとするハチの葛藤があって、絶望しか感じられない状況から微かに見えた希望を見事掴み取ってみせたその結末がなかなか印象的な物語でした。2022/04/29
なみ
19
自殺しようとしていた少年がハチと名乗る少女に拾われ、特別な力"イレギュラー"を駆使して事件を解決する組織に加入する。 良くも悪くも純粋すぎる主人公の桃矢と、暗めの印象を受ける作品全体の雰囲気が、絶妙なバランスで上手く噛み合っていたように感じました。 しめさばさんの描く、感情があふれるシーンが大好きなのですが、この作品は特にそれがはっきり出ていて良かった。 人間の感情や人と人の関係性をしっかりと表現しつつ、異能力という要素をぶちこんできた新シリーズ。これからが楽しみ! 推しは亜樹です。幸せになってくれ……。2022/05/04
のれん
17
すっごく真っすぐな主人公じゃないか! ひたすら痛みの恐怖から逃げるために戦う少年は、ヒーローの原点に立ち返ったかのようなシンプルさ。 対して立ち向かう敵はまさに裏社会らしく、性産業とクスリ産業が組み合った言い逃れのできない犯罪暴力は、手遅れだと読者ながらに想う。 犯罪に単身で挑むからこそ、後ろ向きな「人の痛みが分かる」能力が光る。恐怖心ゆえに戦う、ただ純真だけでもない説得力もあった。 選択を誤らない人間なんていない。だからいつだって人間は生きるために「逃げる」選択肢を持たなければならないのだ。2022/05/02
サキイカスルメ
14
人の痛みを感じる能力を持つ高校生安土桃矢。感じる痛みに疲れ果て死のうとした彼を救ったのは、ハチと名乗る不思議な少女だった。「ダイハチ」の一員として裏社会の闇に触れる現代異能クライムサスペンス!面白い!裏社会と辛い異能がメインで重たい雰囲気が漂いますが、語り部が高校生だからか読みやすかったです。桃矢は読み進めるごとにすごく主人公してましたね。元クラスメイトを救おうと必死になる姿がカッコよかった。友人亜樹とのやり取りも好きでした。彼女にはずっと光と救いの存在でいてほしいなぁ。続きが楽しみです。2022/04/28
真白優樹
9
人の痛みを自分の痛みとして感じてしまう少年が、警察の下部組織を率いる少女に出会い始まる物語。―――闇を知るからこそ灯せ、僅かで確かな光を。 かなりのアウトローでありセックス&バイオレンスなクライムサスペンスものである作品であり、様々な思いが巡る中に少年の成長が光っている、重苦しいけれどその分面白い物語である。始まったばかりの裏の世界での潜入捜査。果たして、危うい日々の中で少年はどんな事件に立ち向かうのか。まだまだ闇は消えない世界で、彼は仲間と共にどんな光となっていくのだろうか。 次巻も勿論楽しみである。2022/04/30