• ポイントキャンペーン

吾妻おもかげ

  • ただいまウェブストアではご注文を受け付けておりません。
  • サイズ B6判/ページ数 331p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784041120019
  • NDC分類 913.6
  • Cコード C0093

出版社内容情報

絵師を目指し、安房から江戸に出て十年。菱川吉兵衛は、吉原と芝居小屋という「二大悪所」に入り浸る自堕落な日々を過ごしていた。
狩野探幽への弟子入りを門前払いされたものの、その面目なさから郷里の縫箔屋の跡を継ぐ決心もできずにいたのだ。
そんな中、ひょんなことから吉原の女たちの小袖に刺繍を施すことに。福良雀と笹の葉、波千鳥、吉祥文様の宝珠、玩具の手毬や扇子に草花。
さまざまな美しい意匠を縫い付けながら、吉兵衛は、未来の見えない辛い日々の中でも懸命に明るく生きようとする彼女たちの心の温もりに励まされ、再び筆を執ることを決意する。
だが、ある日突然巻き起こった大火に吉原と江戸の街が飲み込まれ……。江戸の人々の暮らしを見つめ続けた菱川師宣こと吉兵衛が本当に描きたかったものとは?
浮世絵の祖の生涯を描く、人情と愛に満ちた波瀾万丈の浮世絵師小説。

内容説明

絵師を志すも挫折を味わった菱川吉兵衛。気づけば十年もの間、吉原と芝居小屋という「二大悪所」に入り浸る日々を過ごしていた。そんな中、つらい憂き世をあえて楽しもうとする遊女たちの心意気に励まされた吉兵衛は、再び絵筆を執ることを決意する。だが、ある日、巻き起こった大火に江戸の町が飲み込まれ…。吉原の遊び人から成りあがった、江戸一番の絵師、菱川師宣。時代を写し取り、浮世絵の祖となった男の波瀾万丈の生涯。

著者等紹介

梶よう子[カジヨウコ]
東京都生まれ。フリーランスライターのかたわら小説執筆を開始し、2005年「い草の花」で第12回九州さが大衆文学賞大賞を受賞。08年「一朝の夢」で第15回松本清張賞を受賞し、単行本デビューを果たす。以後、時代小説の旗手として多くの読者の支持を獲得し、16年『ヨイ豊』で第154回直木賞候補となり、同作で第5回歴史時代作家クラブ賞作品賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

starbro

213
梶 よう子は、新作中心に読んでいる作家です。大昔、記念切手のコレクションをしていたので、菱川師宣の「見返り美人」は知っていましたが、菱川師宣の物語を読むのは、初めてです。絵と愛に生きた絵師、菱川師宣の生き様を粋に見事に描いています。 https://www.kadokawa.co.jp/product/322107000448/2022/01/11

パトラッシュ

132
優れた芸術家は神に愛された天才か、努力を重ねて高い域にまで達するかだ。天才が主人公の小説は才能を認めない周囲との衝突が中心になり、努力型なら同志を集めて新しい芸術を広めていく物語になる。地方の職人の息子として後者の典型だった菱川師宣が、ガチガチに固められた江戸の画壇に相手にされずにもがく前半が特に面白い。吉原に入り浸って多くの女を知る中で、大衆向け浮世絵の道を見出すまでは芸術家気取りとは無縁な人間臭さが漂う。後半はやや駆け足になって、師宣が見返り美人図を描くまでの心境の変化をもっと詳細に書いてほしかった。2022/02/03

初美マリン

114
絵師として生きる菱川師宣の生涯を吉原を背景にして描いている。江戸の町絵師は上方の写しにすぎず、その中で号を入れることまで絵師を高めた。時代背景と共に面白く読んだ。2022/05/22

のぶ

97
江戸時代の活躍した絵師、菱川師宣の生涯を描いた作品。菱川は当初、吉兵衛を名乗り、絵師を目指し、江戸に出てきたが、吉原と芝居小屋という二大悪所に入り浸る自堕落な日々を過ごしていた。狩野探幽への弟子入りを門前払いされ、吉原の女たちの小袖に刺繍を施すことに終始していた。ある時期を境に、美人画の挿絵を描き、世間に認められるようになる。師宣を名乗るのは本の真ん中あたり。その後順風な人生を送るようになる。作中で明暦の大火等の出来事が起こるが、師宣の人生に大きなものがなく、面白みに欠けたというのが正直な印象。2021/12/15

なゆ

91
絵師本を読むと、これまで何となく眺めてた絵が全く違って見えてくるから面白い。菱川師宣の『見返り美人図』をまじまじと見つつ。序盤、家業の修行そっちのけで仕送りの金で吉原で遊び呆けてるのにはうんざりだったが、ちょいと気まぐれにさくらの小袖に刺繍をするあたりから面白くなっていく。狩野家の工房に相手にされず挫折していたが、ようやく描きはじめるのだ。名もしれぬ町絵師から少しずつ新たな試みを繰り返すうち、噂になり人気の絵師菱川師宣となっていく。けど、自分の若い頃のことは棚に上げて、息子の気持ちのわからんやっちゃな。2022/09/23

外部のウェブサイトに移動します

よろしければ下記URLをクリックしてください。

https://bookmeter.com/books/18843795
  • ご注意事項

最近チェックした商品