出版社内容情報
小野寺 史宜[オノデラ フミノリ]
著・文・その他
内容説明
深夜のひったくりをやめられない成績優秀な中学生・望。有名私立中に合格するも、町を“守る”ため自転車泥棒に暴行を働く弓矢。大学受験に失敗し、異母弟の弓矢に劣等感を抱く充也。交通事故に遭い就職できなくなったフリーター・根岸。閉鎖的な町で起きた小さな事件によって、古びたマンションで本心を偽りながら生きる住人たちの憎悪と渇望が交錯していき―。隠しきれない“衝動”と“本性”を鮮烈に描いた、青春サスペンス。
著者等紹介
小野寺史宜[オノデラフミノリ]
1968年、千葉県生まれ。2006年に「裏へ走り蹴り込め」で第86回オール讀物新人賞を受賞。08年、第3回ポプラ社小説大賞優秀賞受賞作の『ROCKER』で単行本デビュー。『ひと』で2019年本屋大賞2位(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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starbro
289
小野寺 史宜、5作目です。著者の新境地かと思いきや、若かりし頃16年前の荒削りな作品、共同住宅(決してレジデンスではない(笑))を舞台にした青春群像劇でした。 https://www.kadokawa.co.jp/product/322107000445/ 10月は、本書で読了です。 【読メエロ部】2022/10/31
いつでも母さん
202
いつもの小野寺さんではない。と思うのは私の勝手な思い込み。例えば既読の『夜の側に立つ』だってざわりとした読後感だった。今作はその上をいくざらつきと、人の心に棲む邪悪な空気が私を取り込む感じなのだ。小野寺さんこういうのも描くのねって、正直なところだった。これは好みが分かれるだろうなぁ。まずは読んでみて。2022/09/21
のぶ
165
小野寺さんはこんな話も書くのだ、というのが読み終わっての第一印象。湾岸に立つマンション「湊レジデンス」を舞台に、4人の主要な登場人物を中心に進行していく青春群像劇。主要な4人は深夜のひったくりをやめられない会田望、町を守るために自転車泥棒に暴行を働く入江弓矢、その異母弟入江充也、交通事故に遭い就職できなくなったフリーターの根岸英仁。この4人が女の子と付き合い関係を持ったりしているが、ある時大きな事件が起きてしまう。その時の彼らの行動は・・。読後感はあまりよくないが彼らなりの青春が描かれていた。2022/09/06
まちゃ
159
小野寺さんの作品らしい交差する人間模様を描いた群像劇。ただし、本作は"衝動"と"欲望"から一線を超える若者たちが主人公のダークな物語。救いのない結末でした。2022/10/27
ひさか
149
野生時代2006年9月号湾岸宮殿を改題、全面改稿し2022年8月角川書店刊。思考停止しているような登場人物達が織りなす世界の話で楽しくは読めませんでした。というか、わかりにくい展開というか、たいした展開が無いというか、現実世界の方がもっとドラマチックなんじゃないかと思える話でした。読後感は良くなかったです。残念。2022/09/28