出版社内容情報
高校1年の坂平陸は、プールに一緒に落ちたことがきっかけで同級生の水村まなみと体が入れ替わってしまう。いつか元に戻ると信じ、入れ替わったことは二人だけの秘密にすると決めた陸だったが、“坂平陸”としてそつなく生きるまなみとは異なり、うまく“水村まなみ”になりきれず戸惑ううちに時が流れていく。もう元には戻れないのだろうか。男として生きることを諦め、新たな人生を歩み出すべきか――。迷いを抱えながら、陸は高校卒業と上京、結婚、出産と、水村まなみとして人生の転機を経験していくことになる。
内容説明
高校1年の坂平陸は、プールに一緒に落ちたことがきっかけで同級生の水村まなみと体が入れ替わってしまう。いつか元に戻ると信じ、入れ替わったことは二人だけの秘密にすると決めた陸だったが、“坂平陸”としてそつなく生きるまなみとは異なり、うまく“水村まなみ”になりきれず戸惑ううちに時が流れていく。もう元には戻れないのだろうか。男として生きることを諦め、新たな人生を歩み出すべきか―。迷いを抱えながら、陸は高校卒業と上京、結婚、水村まなみとして人生の転機を経験していくことになる。
著者等紹介
君嶋彼方[キミジマカナタ]
1989年生まれ。東京都出身。「水平線は回転する」が2021年、第12回小説野性時代新人賞を受賞。同作を改題した『君の顔では泣けない』でデビュー(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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夢追人009
344
君嶋彼方さんの絶賛された長編第1作。この題名は何となく誤解を招きそうな感じで私も読む前は悪い意味に勘違いしていましたね。男女の体が入れ替わるパターンの物語で、、高校一年生の坂平陸が同級生の水村まなみと一緒にプールに落ちた翌朝に目覚めると自分の体が水村まなみになっている事に気付きます。男が女に途中で生まれ変わると女として生きていく事の大変さを改めて思い知る事になるという事実が大きく強調されて描かれているのです。本書は恋愛小説ではなく異常な状況下周囲や親を困惑させない為に他人の人生を引き受ける若者の物語です。2023/07/24
パトラッシュ
323
男女入れ替わりの物語は珍しくないが、最後は元に戻るのがお約束だ。しかし15歳で入れ替わった少年は「いつか戻るはず」と思いながら、男の意識のまま女として生理やセックスを経験し結婚・出産に至る。ハインラインの『悪徳なんかこわくない』に似ているが、あちらが高齢男性が若い女性の肉体に脳移植する話なのに対し、突然女になってしまった苦しみや戸惑いを描く青春小説になっている。事実を言えず家族を欺き、心は男なのに母親として子に愛情を注ぐぎこちなさが何とも初々しい。一方、男の肉体にあっさり慣れてしまう女の強さも痛快だった。2023/01/11
kou
271
面白く、先の展開が気になり読むのが止められなかった。「男女の身体が入れ替わる」って設定は結構あるが、それが、高校生から15年以上続き、入れ替わった男性の方が、結婚、出産、育児を体験するとは・・・(汗)。入れ替わりものでは、あまり描かれない問題まで描かれており興味深かった。入れ替わった女性の方の視点でも読んでみたかった。この作者の次回作も期待大!!早く読んでみたい。2022/01/04
ウッディ
252
高校生の夏、身体が入れ替わってしまった水村まなみと坂平陸、元に戻った時、これまでと同じ生活を送れるように、周囲から怪しまれないように生きてきた二人の間に15年が経過する。よくある入れ替わりものかと思っていたが、これだけの長い期間というのは新しく、二人が恋に落ちないのも新鮮でした。家族や友人との付き合い方や、男と女のどちらが得かなど、ジェンダー問題にも触れながら、それぞれの人生を生きるしかなかった二人、それでも、その苦しさをわかり合えるのも世界で二人しかいないという切なさにあふれた物語でした。2023/05/29
うっちー
225
入れ替わりからジェンダー問題につなげた秀作だと思いました。次回作が乞うご期待です2021/12/29