出版社内容情報
検事・佐方貞人は、介護していた母親を殺害した罪で逮捕された息子の裁判を担当することになった。事件発生から逮捕まで「空白の2時間」があることに不審を抱いた佐方は、独自に動きはじめるが……。
内容説明
検事・佐方貞人は、亡くなった実業家の書斎から高級腕時計を盗んだ罪で起訴された男の裁判を担当していた。被告人は実業家の非嫡出子で腕時計は形見に貰ったと主張、それを裏付ける証拠も出てきて、佐方は異例の無罪論告をせざるを得なくなってしまう。なぜ被告人は決定的な証拠について黙っていたのか、佐方が辿り着いた驚愕の真相とは(「裁きを望む」)。孤高の検事の気概と執念を描いた。心ふるわすリーガル・ミステリー!
著者等紹介
柚月裕子[ユズキユウコ]
1968年岩手県出身。2008年、「臨床真理」で第7回「このミステリーがすごい!」大賞を受賞しデビュー。13年『検事の本懐』で第15回大藪春彦賞、16年『孤狼の血』で第69回日本推理作家協会賞(長編及び連作短編集部門)を受賞。18年『盤上の向日葵』で「本屋大賞」2位。映画化され大ヒットした『孤狼の血』の続編に『凶犬の眼』『暴虎の牙』がある(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
のり
146
4話からなる「佐方」シリーズ。細かい事にこだわり、罪を真っ当に裁かせる為に労力を惜しまない姿勢にブレはない。検察にとって不利益になる事にも躊躇はない。事件を起こした者にも色々な背景がある。被疑者は当然だが関係者の思惑も絡む。世渡り的には不器用な佐方。敵を増やす事もあるが、信義を貫き通す彼に救われる者は多い。2023/02/12
アッシュ姉
105
佐方シリーズ第四弾。し、渋い。文庫化を待つ間に期待値が上がっていたせいもあって、ちょっと地味に感じたところもあったが、ファンなら楽しめる短編集かな。次回作はじっくり長編を読みたい。2022/04/12
サンダーバード@読メ野鳥の会・怪鳥
97
佐方シリーズ第4弾の短編集。こうしたシリーズ物に於いて、ブレない信念を持っている主人公がいる小説は面白い。佐方の信念は「罪を真っ当に裁くこと」である。そうした中で今回の案件は必ずしもその通りではなく大局的な視点から清濁合わせ飲む事も必要だった案件もあった。佐方にとっては悩み多き事件であったと思う。★★★★2021/11/15
ばう
91
★★★★ 大好きな佐方貞人シリーズをまた読める幸せ。どんな事件も少しでも疑問が湧けばなおざりにせず自分の納得がいくまで調査する。そんな佐方さんが今作でも「罪をまっとうに裁かせる」という信念のもと担当する4つの事件はどれもぐいぐい引き込まれる面白さです。特に4話目はこれ一本で長編になるのではと思うような深い内容の話で一番心に残ります。そして3話目にはあの日岡刑事がちょこっと登場してくれて嬉しかった♡2021/10/29
ピース
78
たとえ自分や組織に不利になっても真実を追求する左方の姿勢に感服した。それには左方を理解してくれる上司の筒井や事務官の増田の存在が大きい。この環境がいつまでも続くといいんだけどね。2022/06/09
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- 地域研究・地域学習の視点