出版社内容情報
『どんなもんでも百の料理 にします』という珍妙な商売で暮らしを立てる千夏は、道で男に絡まれているところを兜小路梅王丸に助けられた。梅王丸が家守をする長屋に案内され、彼に百の料理を作るが──。
内容説明
『どんなもんでも百の料理にします』の幟を掲げ、担ぎの商売をする千夏は、酔っ払いに絡まれ、大事な商売道具を台無しにされた。そんな惨状に現れたのは、髭面の大男・兜小路梅王丸だった。彼は、酔っ払いの代わりに金を払い、千夏に料理を作って欲しいというのだ。梅王丸が家守をする貧乏長屋で、美味しそうな料理を次々と作り上げる千夏。だが、長屋の明け渡しを迫る男たちが現れ、その中には、彼女の父の仇の姿が―。
著者等紹介
田中啓文[タナカヒロフミ]
1962年大阪府生まれ。2002年「銀河帝国の弘法も筆の誤り」で星雲賞日本短編部門を、09年「渋い夢」で日本推理作家協会賞短編部門を、16年「怪獣ルクスビグラの足型を取った男」で星雲賞日本短編部門を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
タイ子
82
新シリーズ。聖徳長屋の住人は皆珍商売の者たちばかり。長屋の家守が想像するだけで笑える風体。京都はお公家さん出身というから、身なりもスッとして「おじゃる」言葉を話すイメージからは程程遠く、相撲取りのような巨漢、筋骨隆々、顔面髭面の上半身裸。長屋で牛を飼ってていざとなったら牛車を仕立てて討ち入り。頼りになる男・梅王丸でございます。まずは「百珍屋」なる商売の女の子を助けたことで長屋の存続を賭けた料理対決。田中さんも料理小説を出したのかい?と思う位の料理の豊富さ。一風変わった長屋の住人たちこれからが楽しみ!2022/04/03
はつばあば
46
この作家さんの大阪もんは結構面白い。表紙の絵からするとどうみても兜を被った裸ん坊さんが公家の出とは思えないが(^^;。珍商売の店子を集めた長屋の家守梅王丸、そこに現われしは「百珍屋」という『どんなもんでも百の料理 にします』という少女千夏。子供だと馬鹿にして絡んできた大人げない男から梅王丸が助けたことから物語は始まります。料理と将棋対決の2編、啓文さんの作品、私は好きです(#^.^#)。2023/08/19
あっちゃん
29
個性的なキャラが集まる長屋、変わり種の商売の人が集まり店守りを中心に弱きを助け強きを挫く安心感のある話(笑)それにしても、変わった商売考えるなぁ( ̄▽ ̄)2023/05/03
み
23
何となく読了(^^;ちとハマりませんでした…、残念。2022/06/09
那由多
19
この作家さんでは、まだハズレを引いたことがない。今回も楽しませてもらいました。子どもながらに料理で身を立てる千夏、公家らしからぬ梅王丸、権六と子分たちの笑えるやり取り、癖が強い珍商売屋の面々。続きが待ち遠しい。2023/09/14