五つの季節に探偵は

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五つの季節に探偵は

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  • サイズ 46判/ページ数 312p/高さ 19cm
  • 商品コード 9784041111680
  • NDC分類 913.6
  • Cコード C0093

出版社内容情報

人の心の奥底を覗き見たい。暴かずにはいられない。わたしは、そんな厄介な性質を抱えている。

高校二年生の榊原みどりは、同級生から「担任の弱みを握ってほしい」と依頼される。担任を尾行したみどりはやがて、隠された“人の本性”を見ることに喜びを覚え――。(「イミテーション・ガールズ」)
探偵事務所に就職したみどりは、旅先である女性から〈指揮者〉と〈ピアノ売り〉の逸話を聞かされる。そこに贖罪の意識を感じ取ったみどりは、彼女の話に含まれた秘密に気づいてしまい――。(「スケーターズ・ワルツ」)

精緻なミステリ×重厚な人間ドラマ。じんわりほろ苦い連作短編集。

内容説明

人の心の奥底を覗き見たい。暴かずにはいられない。わたしは、そんな厄介な性質を抱えている。“人の本性を暴かずにはいられない”探偵が出会った、魅惑的な5つの謎。日本推理作家協会賞(短編部門)候補作を含む、精緻でビターなミステリ連作短編集。

著者等紹介

逸木裕[イツキユウ]
1980年東京都生まれ。学習院大学法学部法学科卒。フリーランスのウェブエンジニア業の傍ら、小説を執筆。2016年、『虹を待つ彼女』で第36回横溝正史ミステリ大賞を受賞し、デビュー(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

パトラッシュ

187
女性探偵が主役のミステリに五感を絡めた事件を描く趣向が凝っている。収録の5作品はどれも殺人は起こらないが、登場人物の心理にそれぞれ触覚(火傷)、嗅覚(香)、聴覚(解錠音)、味覚(LSD)、視覚(SNS)が重要なカギとなって絡み、ラストで男の身勝手に傷つき苦しむ女の真実が明らかになる逆転のドラマ構成が鮮やか。いずれも短編ミステリとして高い完成度だが、特に今年度の推理作家協会賞短編部門受賞作「スケーターズ・ワルツ」はサスペンスを盛り上げる筆が巧みだ。やや人工的な部分もあるが、作家としてのテクニックは文句なし。2022/06/18

cinos

130
友達を失ってでも人の本性を暴かずにはいられない少女が探偵になって解き明かした5つの季節の事件。ビターな結末の作品が多いですが、いい。ピアニストと指揮者の恋を描く「スケーターズ・ワルツ」、不覚だった、最高。おすすめです。2022/02/15

みかん🍊

101
思ったよりダークだった、父親が探偵のため周りから難題を持ちかけれたりしていたみどりは高校の時いじめを受けている友人から担任の弱味を握りたい、やってくれないと家を放火すると脅され初めて探偵の真似事をする、その経験から自分は人間の本性を暴かないと気が済まないという事に気づく、2002年春から2018年春までの5つの季節の出来事、京都での香道や防犯に纏わる事やドイツでの音楽等専門的な知識も豊富でエアドロップ痴漢なんて知らなかった、若竹作品の様なダークな探偵物語でした。2022/06/17

aquamarine

100
探偵・榊原みどりが高校生時代に同級生から無理矢理頼まれた最初の依頼から、時を経て16年後までの5つの依頼を描いた連作短編。一見日常の謎に見えるそれぞれの依頼は、真相に到達すると思いがけない隠されたものが見えてくる。これを見ないままにするか、探偵としてすべてを明らかにしてしまうのか…。ミステリとしてだけでなくこの人間模様のほろ苦い扱いが印象的。ミステリとしてのアプローチも派手ではなくても様々で良かった。特に残ったのは依頼人の叫びが胸を打つ「龍の残り香」。好みは思いがけないラストが待っていた「開錠の音が」。2022/04/03

さっこ

92
逸木さん初読み。読友さんのレビューを見て手に取った一冊。探偵を父親に持つ「榊原みどり」が自らも探偵となった16年を描く連作短編集。思いのほかビターな味付けで、どのお話も最後には違った側面やどんでん返しを見せてくれる。謎を解くことが新たな苦みを生む人間ドラマ。面白かった。2022/04/17

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