出版社内容情報
畑野 智美[ハタノ トモミ]
著・文・その他
内容説明
商店街の小さなマッサージ店に勤めるさくらは、28歳の誕生日を祝ってくれた客の松原と付き合うことになった。出版社に勤める彼と過ごす幸せの絶頂のような期間はつかの間で、関係は悪夢のように変わっていく。強く束縛され、少しでも反論すると激怒され、乱暴に扱われることに嫌気が差して別れを告げると、松原はさくらを付け狙うようになる。預かっていた合鍵を頑として返さない松原の妄想は、加速度を増してゆくが―。
著者等紹介
畑野智美[ハタノトモミ]
1979年東京都生まれ。東京女学館短期大学国際文化学科卒。2010年、地元の複雑な人間関係のなかで生きる若者たちの姿をいきいきと描いた『国道沿いのファミレス』で第23回小説すばる新人賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
馨
111
非常に胸糞悪いストーカー小説でした。ストーカー行為がエンドレスで、どう落とし前をつけるのか想像つかなかいまま読み進め、やっぱり胸糞悪かったです。主人公さくらとストーカー松原の目線の交互に話が進むのでストーカーの心情も割とわかりやすいですが、過去の家族や受験なんかの背景を考慮したとしても何でも自分が正しいと思っていてどう伝えても通じず会話にならない松原は本当に気持ち悪いし腹が立つ。さくらも優柔不断で共感出来ませんでした。さくらの弟が頼りがいがあり良かったのと、松原の同級生住吉がまともでした。2024/09/01
kei302
85
もどかしさと執念妄想の異様さ、そして、ラストの衝撃、読み始めたら止まらない、完成度の高い作品です。 シンプルな文体と淡々とした描写で状況が悪い方に進んでいきます。ストーカーは深刻な社会問題です。 松原の一人称語りの章では、さくらが悪いのかと頭が混乱しそうになるが、 「河口さんは、何も悪くありません」と言ってくれた志鷹さんの言葉に勇気づけられた。 帯の「イヤサス」「こんな怖い小説」には異議ありですが、 文庫化してくれた角川文庫には感謝です。小早川明子さんの解説も強く訴えてくるものがある。2021/03/15
佳蓮★道央民
80
★★★★★★★七つ星✨いやぁ、めちゃくちゃ松原さんが怖かったです。私も、元カレにモラハラずっと受けていたんだけど、ストーカーまではなっていないから良かったんだけど、松原のモラハラ具合がめっちゃ元彼に似ていて、読んでてスッゴク不快で堪りませんでした。性行為も強制的にさせられるし、何を思ってるのか知らないけど、俺が全部私のことを知ってる的なことを言ってるし本当に松原にソックリで読んでて気持ち悪かったです。けど本当にストーカー規制法ってあるんだなって学べたので良かったです!オススメは出来ないけど面白かったです!2022/06/02
mirei
78
ストーカーされる側とストーカーする側からの心理の細やかな移り変わりがゾクゾクとさせられ、先が気になり仕方がなかった。普通に人を好きになっただけなのに。いったいどうすれば正解だったんだろう。考えられる手立てや対策を以ってしてもストーカーからは無事に逃げきれないんだろうか。ほんの少しの隙やストーカーにとっての運によってつけ込まれる怖さがなんとも言えない。 2022/04/05
坂城 弥生
72
かなり気持ち悪かった…なんだろう、女の子のストーカーは恐怖のが強いのに、男のストーカーは嫌悪のが強い。無能で空っぽの人間ほど会社のせい人のせいにするんだなぁと実感した。 ストーカーされやすい人は『優しい人』だと聞いたことを思い出した。「この人だけは自分を受け入れてくれるに違いない」と執着されやすい、と。2021/05/13