内容説明
ヨーロッパ14世紀後半、百年戦争・ペストに見舞われた聖俗世界の惨状を、北フランス領主クシーの生涯と共に全貌。ピューリツァー賞、全米図書賞、全米人文科学基金賞に輝く著者の名作の本邦初訳。
目次
第1部(「われはクシーの殿なり」―王朝;災いの中に生まれる―一四世紀;青春と騎士道;戦争;「これぞ世の終わり」―黒死病 ほか)
第2部(クシーの出世;獅子に立ち向かう地の虫;イタリアの魅惑;第二のノルマン征服;虚構の亀裂 ほか)
著者等紹介
徳永守儀[トクナガモリヨシ]
東洋大学名誉教授、英文学専攻。1932年東京日本橋生まれ。1951年東京開成高等学校卒業。1960年上智大学西洋文化研究科修士課程修了。1969年都立高校、東海大学教員を経て、東洋大学教員。2003年東洋大学文学部英米文学科を定年退職(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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Homo Rudolfensis
15
☆4.6 しかし長い…。膨大な参考文献を1000ページの大著に書き上げる著者の能力は凄まじいの一言に尽きるのですが、全部読むのはかなり大変。14世紀ヨーロッパ、更に言うなら北フランスのクシー家に関して、同時代人の年代記をかなり参考にしているので、宴会の様子やライバル領主の暗殺など、普通の本では中々届かない、痒い部分も細かく描写されていて、14世紀ヨーロッパにタイムスリップしたい人に非常にオススメです。2021/09/16
Christena
7
1000ページを超える本で、事細かく生活の様子が書かれているので、中世ヨーロッパにトリップできる。しかし長すぎる。興味のない章は読み飛ばしてしまった。本文同様に注釈も丁寧だが、物語として楽しむ目的ならば、読まなくても差し支えなさそう。それにしても、14世紀のヨーロッパで生きるのは大変そうだ。2017/01/18
takao
2
☆黒死病の14世紀のクシー家。 2017/12/27
belier
2
読んでいる最中は、意識が14世紀ヨーロッパにトリップする本。とにかく詳細。記憶力が全く追いつかないのが残念。歴史的人物や出来事はもちろん、風俗的なことはパーティーの出し物や料理まで、ありとあらゆるものを描写する。それなのに全く飽きるさせることのない筆力。近代以降なら敏腕政治家として現代まで名が伝わるだろう、クシーという日本では全く知られてない大貴族を中心人物に据え、大河ドラマのように物語るという手法もうまい。詳細な注釈が理解を助けてくれる。難点を言えば誤植が多い。こんなに誤植が散見される本も珍しかった。2014/12/30
鏡裕之
2
『愚行の世界史』は、目指すゴール地点がはっきりしていた。しかし、上下二段組で1000頁のボリュームの果てに何を目指したのか、本書ははっきりしない。読み手は、ひたすら厖大な歴史的データのシャワーを浴びせられるだけ。タックマンならば、本書ではなく『愚行の世界史』を薦めたい。2014/08/25