出版社内容情報
志織にとって夫の誠太は、何よりの理解者であり味方だった。しかしある日突然、誠太は失踪。残された手紙には「志織にひどいことをした、裏切り者だ」と書かれていた。信頼していた彼の愛は偽物だったのか――?
内容説明
翻訳家の志織は三十四歳。五年の交際を経て結婚した夫の誠太は、友人から「理想の旦那」と言われ、夫婦生活は安定した温かさに満ちていた。ただひとつ、二人の間に子どもがいないことをのぞいては。あるとき、志織は誠太のSNSに送られた衝撃的な投稿を見つける。“自分の人生に奥さんを利用しているんですね。こんなのは本当の愛じゃないです。”二週間後、夫は失踪した。残された手紙には「自分は志織にひどいことをした、裏切り者だ」と書かれていて―。心をかき乱す極上の恋愛小説。
著者等紹介
奥田亜希子[オクダアキコ]
1983年、愛知県生まれ。愛知大学文学部哲学科卒業。2013年、『左目に映る星』(「アナザープラネット」を改題)で第37回すばる文学賞を受賞しデビュー(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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青乃108号
228
運営様、申し訳ありません。折角10人の内の1人に選んで頂いておりましたのに、長い時間がかかりました。初めての電子書籍に慣れず、出掛けた時に少しずつ読んでようやく今しがた読み終えました。と言いますのも私は元来、猛烈に出不精なものですから。読み始めて1年ぐらいですか、随分かかりました。いえ、決して内容がつまらなかったとかいう訳ではありません。むしろ不妊治療に取り組んだ2人の物語は他人事とは思えず、ラストの2人の姿は胸に迫る物がございました。良いお話を読ませて頂き本当にありがとうございました。また選んでね。 2022/11/12
いつでも母さん
213
結婚して7年、翻訳家の志織と誠太夫婦は妊活中。ある日、夫・誠太が失踪した・・夫婦の在り方はそれこそ人それぞれ。子どものあるなしで優劣等つく訳も無し。世間の常識や友達と比べて何としよう。終始私の中の違和感は拭えずモヤモヤが残る読後感ではあったけれど、紛れもなくこれはある夫婦間の恋愛小説だった。「他人の言葉で私を予習しないで」この言葉が好き!いつかどこかで使ってみたい。2022/01/18
うっちー
177
軟弱男を相手にした純愛小説でした2022/01/19
ちょろこ
161
確認したくなる一冊。不妊治療を軸に描かれる夫婦の物語は道が見えない治療の苦しみはもちろん、愛の苦しみが溢れていた。信じる絶対的なものが自分から剥がれ落ちる想像を絶する苦しみ、虚しさが痛いほど突き刺さり寄り添いたくなる。志織にとって裏切りとも感じる誠太の行動は相手を想い過ぎた故の行動、愛を抱えるつもりが逆に愛に押しつぶされてしまったように感じた。同じ目標へと同じ場所で同じ空気を吸っていても吐き出す空気は全く別のものなんだな…と今更ながら心に渦巻く。今信じる愛を今すぐこの手で触れ確認したくなる、そんな読後感。2021/12/08
美紀ちゃん
156
バイトの友達バンドの歌詞を英訳した詩織。 「求めよ、たとえ与えられなくても、求めよ、肉体が朽ち果てるまで」 新約聖書の1節。 askは、祈る、願うという意味も。 惚れ薬を作ってしまうほど、惚れてたってことでしょ!すごいょ。 インスタのDMで中傷攻撃される。 なぜだろ。自分に自信がないから? 話せて、良かった。 別れたらダメだと思う。 大切にしてほしい。本当に優しい旦那さんだと思う。 ラストには光がさす。 相手を想う気持ちが溢れている。 大人の恋愛ストーリー。2022/03/08