内容説明
最近、夫婦は部屋でおかしなものを見るようになつた。妻は“幽霊ではないか”とかんがえ始める。理系の妻と謎を追い始めた主人公が辿り着いた意外な真相とは―「世界で一番、みじかい小説」。東日本大震災で妻子を失った男の心情を描き、読者の感涙を誘う「トランシーバー」、別れた夫に愛娘と心中された主人公を描いた表題作など“切なさ”の名手が描く日常と非日常のあわい。恐ろしく美しい8つの“喪失”の物語。
著者等紹介
山白朝子[ヤマシロアサコ]
2005年、怪談専門誌『幽』でデビュー(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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アッシュ姉
86
喪失感が色濃く、深い悲しみが漂うなか、じんわりと温かさが残る短編集。待望の文庫化で久しぶりの世界観を堪能。印象的なタイトルが並ぶなか、後半の四編がお気に入り。最後を飾る走馬灯の着想には感嘆。やっぱり山白朝子さんが一番好きだな。どんどん書いて欲しいし、耳彦にもまた会いたい。2021/06/25
かぷち
65
ホラー風味なんだけど怖がらせる系ではなく、どこか懐かしさまでも感じさせ郷愁に浸れる短編集。乙一さんの描く物語はどれも優しさという名のフィルターがかかっているような気がして(中田永一名義もそんな印象)座り心地が良いというか、読んでいて非常に落ち着く。結構えげつない表現も多いけど。「首なし鶏」「子どもを沈める」なんかその路線、残酷さの裏に慈愛を感じ無性に切ない。「トランシーバー」は喉を掻きむしりたいぐらい不幸な出来事なのだが、ハートウォーミングという矛盾で一番好き。どれもガツンとは来ないけどジワジワ染み入る。2025/04/12
カフカ
62
山白朝子節全開の短篇集。まず「私の頭が正常であったなら」というタイトルが素晴らしい。すべての短篇で人が亡くなり、悲惨な物語ばかりなのだけど、ただ悲しいばかりではなく切なさや温かみを感じた。特に「首なし鶏、夜をゆく」、「私の頭が正常であったなら」、「おやすみさい子どもたち」がお気に入り。でも本当、どれも面白くて、読後胸がいっぱいになった。あぁ朝子様、一生ついていきます……。2023/07/08
坂城 弥生
54
不思議で、悲しくてどこかに希望がある話しの多い短編集でした。2021/04/13
優希
53
日常と非日常の狭間に入り込んだようで、怖さを味わいました。恐ろしく美しい短編集だと思います。2021/10/25
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