内容説明
韓国の書店で受けた衝撃。地震から一年後の決意。敗北感を抱いた、同年の漫画家。私小説や藤澤清造への思い。横溝正史原作の映画について。そして、自らの半生。新無頼派の第三エッセイ集。
目次
一私小説書きの独語
韓国みやげ
藤澤清造著『藤澤清造短篇集』(新潮文庫)解説
下向きながらも
求めたきは…
(創る人五十二人の二〇一一年日記リレー)
畏怖と畏敬―山田花子に寄せて
新発見作も付して―西村賢太編『藤澤清造短篇集』
まだ時期尚早(「あなたは橋下徹総理を支持しますか?」)
私小説書きの素朴な疑問(「平成維新」12人の公開質問状)〔ほか〕
著者等紹介
西村賢太[ニシムラケンタ]
1967(昭和42)年7月、東京都江戸川区生れ。中卒。2007(平成19)年『暗渠の宿』で野間文芸新人賞を、2011(平成23)年「苦役列車」で芥川賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
国士舘大学そっくりおじさん・寺
60
西村賢太のエッセイ集。装画は能町みね子。内容は賢太ファンならば何度も聞いた話が多く、同じ事の繰り返し感は否めないが、表題の自伝的エッセイは改めてその家庭の悲惨を思わされ切なかった。似た内容が多い中、橋下徹や尖閣諸島、AKB48総選挙を論じた時評や、TSUTAYAのシネマハンドブックに寄せた『西村賢太が選ぶ横溝正史原作の映画十本』(映画のスチール写真入り)が新鮮で面白かった。結局楽しく読まされたのはファンの弱みか。京都の高校の図書館のアンケートへの最後のメッセージが素っ気ないのに良い言葉だった。2014/07/29
そうたそ
31
★★★☆☆ 西村賢太氏の随筆集。随筆集というか雑文の寄せ集めといった方がいいかもしれない。所謂「ごった煮」感は満載である。藤澤清造好きであるのは、これを読むまでもなく十分分かっていることだが、藤澤清造の登場回数が多いのは、そんなわけで相変わらずだった。後は、相当横溝正史好きなんだな、と思った。横溝正史原作の映画も相当回数見返しているようで、今までの随筆集にもまして横溝正史好きが伺える一冊だった気がする。なんてことない内容なのだが、西村賢太独特の文章が好きだから、やっぱり読んでしまうんだよなあ……。2014/08/13
つちのこ
28
あとがきで書いている通り、ゴッタ煮鍋風の随筆集。著者の違った側面も見ることができるので、ファンとしては嬉しい内容だ。芥川賞受賞後の全国を飛び回るスケジュールをこなす忙しさには驚き。人気作家になるとこうなんだ、と改めて驚いた。映画版の「苦役列車」を思う存分批判しつつも、原作者として温かい目で見ている部分もあり、意外な優しい一面も感じた。傾倒する藤澤清三はともかくとして、少年時代からの横溝正史への偏愛ぶりは筋金入り。なかでも金田一シリーズの映画解説は簡潔な文章で読みごたえがあった。2023/04/07
抹茶モナカ
22
若い頃について書いた随筆が前半に置かれ、後半はいろいろな本や雑誌への文章の寄せ集め。随筆と私小説の違いがよくわからないけれど、他の著作と書いてある事は変わらない印象。西村賢太さんの本は、ほぼ図書館から借りて読んでいるけれど、この本の中途半端な感じは、もし身銭を切っていたら、怒っていたところかもしれない。前半の随筆パートが丁寧な筆致だったので、後半のゴッタ煮は乱暴で、本自体の出来は良くない印象が残った。2017/04/26
mari
21
こんな寄せ集めの雑多な内容でも一冊の本になるのだと感心した。内容はさておき、西村賢太の独特さが堪能できるのでファンには嬉しいかも。2014/09/26