出版社内容情報
梨園の御曹司にして絶世の美男・藤村霞右衛門に待望の跡継ぎが生まれた。桂と葵、男女の双子だ。大名跡を継ぐ男子としてもてはやされる桂。だが真に父の才能を受け継いでいたのは娘の葵で……。父と子の葛藤の物語!
内容説明
“今源氏”の仇名をもつ絶世の美男俳優・藤村霞右衛門が、長い独身生活に終止符を打った。そしてまもなく男女の双子が誕生する。兄の桂は跡継ぎとして大切に扱われ、妹の葵も父に溺愛されて天真爛漫に育った。ただし性別以外そっくりな双子には、決定的な違いがひとつある。父親の溢れんばかりの才能を受け継いだのは、皮肉なことに娘の葵の方だったのだ。女と生まれたからには、どうあっても歌舞伎役者にはなれない。それは梨園における鉄の掟だ。ジレンマに身悶え、それでも自分なりの道を模索する葵。だが彼女の前には、愛するがゆえに我が子の夢を全力で潰そうと立ちはだかる父の姿が…。芸の鬼に取り憑かれた、梨園の父娘ふたり。その愛と葛藤の軌跡!
著者等紹介
東芙美子[アズマフミコ]
1965年、東京都生まれ。日本大学芸術学部放送学科卒業。アパレル企業、テレビ番組制作プロダクション勤務を経て、フリーの放送作家に。主にドキュメンタリー番組、情報系番組を手がける(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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タックン
96
ここの感想読んで気になって借りた本。とにかく面白くて一気読み。今源氏と呼ばれた歌舞伎のスターに男女の双子が生まれた。そしてなぜか跡取りの息子には才能が宿らず娘の(葵)に才能もやる気も父の遺伝子が受け継がれてしまった・・・そのことから発生するドタバタ劇。歌舞伎界における女子禁制・男子世襲のおきてや歌舞伎界のことがよくわかって面白かった。梨園って絶する世界でずっとそれを守ってきてるからあれだけの芸が伝承されてるんだなあ・・・・。そうゆう中で葵の一途さが清々しいな。父の娘への異常なまでの愛もよくわかる。2014/12/20
あつひめ
84
この突拍子もない人の集まりが歌舞伎の世界?と安直に考えたらいかんのだろうが、男女の差については、このくらいの事はあるのかもなぁ…と思った。同じ芸の世界だから、わかりすぎて娘をそんな世界に置きたくないって言うのもわかるにはわかるが…。葵の心の強さだけが最後まで輝いていた気がする。双子の対照的な兄。比較されてばかりだけど…どんな世界でも受け継ぐ事の難しさを感じた。想像していたのとはかなり違ってビックリの連続だった…。久々に歌舞伎を見てみたくなった。2014/08/17
はつばあば
66
娘をお持ちのお父様、娘がいないお父様。そして父親に反抗年齢のお嬢さんにおススメの本です。父親の親心は、娘は恋する対象のように愛おしいものらしい。私の父親も優しくはなかったが、今思えば愛情の裏返しなんだろうなと云える事がいっぱい。昔の人だから素直じゃなかったのか。唯一満願の笑顔でいたのは私の結婚式。やっと困った娘が片付いたと云わんばかりの笑顔。娘とは本当に困った者である。父親に感謝しようと思った時には既に手遅れ。もう笑顔も怒った顔も見られない。父親を3Kのように汚い臭い等と云わずに最後に感謝を持って欲しい2016/02/10
ゆみねこ
66
今源氏と呼ばれる歌舞伎役者の娘として生まれた「葵」。双子の兄「桂」は跡取りとして才能ややる気がなくても芸の道に縛られる。「葵」の舞台にかける思いが一途でワクワクしながら読了しました。梨園という世界は、想像を絶する場所なのでしょうね。面白かったです。2014/12/12
BlueBerry
60
歌舞伎界の話しなので新鮮ではありました。最近、私は男しかなれない職人物で女性が頑張るとゆー話(みをつくし料理帖、櫛挽道守、恋細工)などを幾つか読んでいるのですが、それの歌舞伎番といった感じかと思いました。特権意識が若干鼻につきましたが基本的には楽しく読めたと思います。2014/02/27
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