レモンケーキの独特なさびしさ

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レモンケーキの独特なさびしさ

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  • サイズ B6判/ページ数 352p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784041104859
  • NDC分類 933
  • Cコード C0097

出版社内容情報

全米ベストセラー!『燃えるスカートの少女』のエイミー・ベンダー最新傑作「種明かしをするわけにはいかないので、ここではただ、この本を書いているあいだ、感じやすい(sensitiveである)とはどういうことかについてたくさん考えていた、とだけいっておきましょう」――エイミー・ベンダー

9歳の誕生日、母がはりきって作ってくれたレモンケーキを一切れ食べた瞬間、ローズは説明のつかない奇妙な味を感じた。不在、飢え、渦、空しさ。それは認めたくない母の感情、母の内側にあるもの。
以来、食べるとそれを作った人の感情がたちまち分かる能力を得たローズ。魔法のような、けれど恐ろしくもあるその才能を誰にも言うことなく――中学生の兄ジョゼフとそのただ一人の友人、ジョージを除いて――ローズは成長してゆく。母の秘密に気づき、父の無関心さを知り、兄が世界から遠ざかってゆくような危うさを感じながら。
やがて兄の失踪をきっかけに、ローズは自分の忌々しい才能の秘密を知ることになる。家族を結び付ける、予想外の、世界が揺らいでしまうような秘密を。

生のひりつくような痛みと美しさを描く、愛と喪失と希望の物語。

エイミー・ベンダー[エイミーベンダー]
1969年生まれ。カリフォルニア大学出身。小学校教諭をつとめた後、最初の短篇集『燃えるスカートの少女』(角川文庫)で鮮烈なデビューを果たす。2010年に刊行した長篇第二作目となる本作は全米ベストセラー入りを果たし、新たな代表作に。邦訳に長篇『私自身の見えない徴』、短篇集『わがままなやつら』がある。2013年には三作目の短篇集『The Color Master』を刊行。南カリフォルニア大学で教えながら精力的に執筆活動を続けている。ロス・アンジェルス在住 。

管 啓次郎[スガ ケイジロウ]
1958年生まれ。比較文学者、詩人。明治大学理工学部教授。エイミー・ベンダー作品の翻訳の他、『星の王子さま』(角川文庫、角川つばさ文庫)、アジェンデ『パウラ、水泡なすもろき命』、コンデ『生命の樹』、ル・クレジオ『ラガ――見えない大陸への接近』など訳書多数。著書『斜線の旅』で読売文学賞を受賞。他に『本は読めないものだから心配するな』、『ハワイ、蘭嶼』、詩集『時制論』などがある。

内容説明

9歳の誕生日、母がはりきって作ってくれたレモンケーキをひと口食べた瞬間、ローズは説明のつかない奇妙な味を感じた。不在、飢え、渦、空しさ。それは認めたくない母の感情、母の内側にあるもの。以来、食べるとそれを作った人の感情がたちまちわかる能力を得たローズ。魔法のような、けれど恐ろしくもあるその才能を誰にも言うことなく―中学生の兄ジョゼフとそのただ一人の友人、ジョージを除いて―ローズは成長してゆく。母の秘密に気づき、父の無関心さを知り、兄が世界から遠ざかってゆくような危うさを感じながら。やがて兄の失踪をきっかけに、ローズは自分の忌々しい才能の秘密を知ることになる。家族を結びつける、予想外の、世界が揺らいでしまうような秘密を。生のひりつくような痛みと美しさを描く、愛と喪失と希望の物語。

著者等紹介

ベンダー,エイミー[ベンダー,エイミー] [Bender,Aimee]
1969年、生まれる。カリフォルニア大学アーヴァイン校創作科出身。小学校教諭をつとめた後、作家に。南カリフォルニア大学で教えながら精力的に執筆活動を続けている。ロス・アンジェルス在住

管啓次郎[スガケイジロウ]
1958年生まれ。明治大学理工学部教授。著書『斜線の旅』で読売文学賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

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感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

ちなぽむ and ぽむの助 @ 休止中

151
誰にもわかってもらえない。こんなに近くにいるのに笑いあっているのに愛しているのにしあわせな家族のように見えるのに。おとなもこどもみたいに、おなじ矛盾を抱えるいきものだって、おとなになって知りたかった不幸なおんなのこのこときっとだれも知らない。 レモンケーキはあまくて青春の酸っぱさ。どこかにすこしだけ苦くて、知らなくてよかった背徳の味がした。 哀れんで慰めて、みじめなキスでもいいから。そう言って泣いたおんなのこのこと、だれかしあわせにしてください。2020/07/28

りつこ

61
どこからどこまでも好みだった。食べたもので作ってる人のことがわかってしまう少女。母の作ったレモンケーキを食べて母の空虚を知ってしまう。その能力とどうにか折り合いをつけ、さらにはそれを生きる力に変えていく。一方兄の方は…。繊細でありすぎることは時に生きることを苦しみに変えるけれど寂しくない人などいないのだ。ジョージとの電話のシーン、兄とのシーンには涙が溢れた。寂しいけれど優しい物語。いままで読んだエイミーベンダー作品のなかで一番好き。2016/09/17

miyu

57
oversensitiveというのは確かに若い年代特有の感情かもしれないが、大人になり独立した人の中にも数は少ないが存在する。表面上は他の人と変わらないのに内面ではかなり苦労している人もいる。成長して経験を積んでも傷つきやすさを上手にコントロールできない人や、そもそもコントロールが難しい感じやすさ敏感さもあると思う。それは分からない人には全く理解できないものだろう。この作品の中に悪意に満ちた人は存在しないのに、どうしてかとても無神経な人はいる。けれど主人公のローズはずっと最初からママが好きだ。心が痛んだ。2016/08/07

あじ

56
人の心が読み取れたらいいのにと、願った事がある。そんな事が現実に起きたならば、雑踏に湧き上がる心の声たちを、上手くあしらえる自信は私にはない。主人公の少女は料理を口にすると、様々な感情や情報を拾える能力を持つ。物語の途上、彼女の兄が姿を消す。それまでに描かれていた兄は、どこか儚く虚ろであり含みのある姿を晒している。生きづらさと手を取り歩んでいけるのか。この象徴的な描写は、少女とジョージの手の温もりにあったのではと思う。兄の「独特なさびしさ」は少女にだけ理解できる、ある種のものだったかもしれない。★3/52016/08/07

わっぱっぱ

48
きっと、それほど違ったことではないのだと思う。感じやすいからといって何でも理解できるわけではないし、感じやすくないからといって傷つかないわけでもない。ローズと兄と両親、それぞれに世界と折り合いをつけてゆくしかなくて、みんな寂しくてみんな叫びたくてみんな愛しているのに、一体誰を責められるというのか。願わくばブルーベリージャムの瓶底からのぞく夜明けの明るさを彼女に。訳文が不評のようだけれど、oversensitiveなローズの感性をそのまま散りばめたような、素敵な文章・言葉だと私は思った。表紙の菓子製作は⇒2017/10/13

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