内容説明
2010年冬、喜び組の崔純子は国家最高機密とともに脱北、中国に入った。亜細亜政治研究所長・甲斐長州の意を受けた工作員・蛟竜は、ハルビンで純子を確保し、中国から脱出を図る。しかし、北朝鮮国家安全保衛部の朴成勇と中国国家安全部の厳強幹は、純子と蛟竜の行方を執拗に追い続ける。次第に追いつめられる二人。さらに純子の持つ国家機密をめぐり、各国の諜報機関が暗躍する。日本を目指す二人が国境で見たものは何か…。純子と蛟竜が手にした国家機密が明るみに出た時、世界が大きく揺れ動いた…。
著者等紹介
柴田哲孝[シバタテツタカ]
1957年東京都生まれ。日本大学芸術学部中退。86~88年に、パリ~ダカール・ラリーに参戦。海外の秘境に釣行するアウトドア派でもある。2006年『下山事件 最後の証言』で第59回日本推理作家協会賞と第24回日本冒険小説協会の評論・実録部門賞をダブル受賞。07年『TENGU』で第9回大藪春彦賞を受賞する(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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ゆみねこ
70
うーん、思っていたエンディングじゃなくて残念!脱北した美しい女が持ち去った国家機密と彼女を追う北の組織。米中露の思惑や各国のエージェント。世界で起きている様々な事柄の裏には、本当にこんなことがあるのかも?長かったけれど読みごたえはありました。2016/06/25
ミーコ
58
読み応え有ったし、面白かったですが長かったです! えー こんな裏の話が・・・と 恐くなりました。スケールがデカイ! しかし こんな結末になるとは思ってませんでした。最後は日本に帰って欲しかったし、幸せになって欲しかったです。残念・・・2014/09/03
幹事検定1級
47
北朝鮮、中国を舞台にした壮大な作品。作品全般にわたる諸国との政治経済に関する膨大な情報は参考文献からもその勉強量はすごいものがあります。主人公の二人が志し半ばで終わってしまったことと、ある意味これまでの逃亡劇からは考えられない最後でした。(図書館本)2016/06/09
それいゆ
39
脱北の話だけではなく、拉致、尖閣、竹島、ビンラディンなど現在の世界情勢のすべてがてんこ盛りで、ノンフィクションを読んでいるかのようでした。最後5ページを残すあたりで結末が見えてきて、この終わり方を受け入れたくない自分がありました。この壮大な物語は、ぜひ映画化してほしいです。北朝鮮、中国を舞台に映像化することは至難の業で、脱北者のヒロイン崔純子を演じる女優を誰にするかが最も難しいと思いますが、私の中では「レッドクリフ」のリン・チーリンのイメージで読んでいました。2013/05/13
RIN
35
フィクションなのにストーリーがおまけみたいに「事実」部分の「つなぎ」が迫力ある。2010年前後、日本を巡る周辺各国の不穏な動きを基軸にエスピオナージュっぽく丹念に緻密に物語が進む。政権の不安定化によって国力が弱化した途端、ハイエナのように各国が群がり貪るのが国際社会の常識。我々が苛々したあの時期、各国が裏でこんなことやあんなことを画策していたとしたら・・・。なんだかんだ言ってやっぱり悪者はあの国かぁ^^;2016/09/22