出版社内容情報
時代に愛され「外食王」となった男の一代記を、原宏一が描ききった傑作!
「この国のキンタマは”食”なんすから」そうのたまい、一介の鮨職人から、外食産業の帝王に成り上がった男・徳武光一郎が自殺。長年彼に尽くしてきた金森は、独房の中でその報を聞くが……。
内容説明
「この国のキンタマは“食”なんすから」そうのたまい、一介の鮨職人から、外食産業の帝王に成り上がった男・徳武光一郎が自殺。長年「番頭」として彼に尽くしてきた金森は、刑務所でその報を知る。人、金、権力。全てをその手に握った「食王」に、一体何が起こったのか。
著者等紹介
原宏一[ハラコウイチ]
1954年、長野県生まれ。早稲田大学卒業後、コピーライターを経て、97年『かつどん協議会』(集英社文庫)でデビュー。2007年、ある書店員の熱心な応援で、01年に文庫化した『床下仙人』(祥伝社文庫)がブレイクし、ベストセラーに。鋭い風刺とユーモアで描く独特の作風で人気となる(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
紫綺
142
鮨を握る、キモを握る男たち。16歳で鮨屋の小僧2人の波乱万丈、奇想天外な成り上がりストーリー。最後の最後、驚きの結末が腑に落ちた。2016/01/24
佐久間なす
66
日本の食の頂点に立っていた男の自殺を知ったナンバーツーによって、男がどのようにして頂点に君臨するようになったのか語られていく。 自然と人の心に入り込むスキルと笑顔を利用してのぼりつめていくゲソを追いかけるのが途中でやめられなくなり、最後のほうは夢中になって読みました。濃厚で味わい深い物語でとても面白かったです。 これからも頂点に君臨しているのだろうと思った矢先の突然の自殺。その裏には、彼と彼の妻の誰とも分かち合えない深い悲しみがあったと知ったときは、切ない気持ちで胸がいっぱいになりました。2013/03/25
masa
57
原さん9作目。いつもの明るい原ワールドとはテイストが違うけれど、「人間を描く」という点で言うなら、むしろ渾身の作と言っていいと思う程に良かった~!生い立ち不明な野心家・通称ゲソが両国の老舗鮨屋を踏み台として食の巨大企業へと変貌、凋落していく中での人間描写が実に秀逸である。いわゆるバブル前後が物語のクライマックスで、その時代の経験者にはより雰囲気を楽しめると思う。鮨屋の描写もまた実に上手くて思わず暖簾を潜りたくなります。柚木麻子「その手をにぎりたい」がお好きな読友さんは楽しめるかも♪15642015/04/19
takaC
46
キンタマを握る男。終盤がドタバタだったのが残念。終章「自白」は真相なのか?2013/01/15
くぅ
43
面白くなかったわけじゃないけれど期待したほどではなかったというのが正直なところ。書店で文庫の帯に『必読です!全ての働く男女に読んでほしい。』なんて書いてあって興味を持って、買うのを我慢して図書館で借りたんだけど…。これは…働く男女に読ませて何を狙うのかね( ̄。 ̄;)?私は強欲の塊と弱みを握って支配したり騙したりの繰り返しに川俣じゃないけど疲れたよ。上に立ちたい欲がないからわからんけどもここまでやって何になる?虚しくならんか?とか思うところがたくさんで…。最終的に女の欲が一番恐ろしいって話だし。ふぅ。2016/03/23