出版社内容情報
「消失グラデーション」の長沢樹、待望の新作!
廃部寸前の都筑台高校映研の部長・遊佐渉は、映像制作に秀でた後輩の樋口真由とともに、夏休みを利用して行われる映像制作合宿に参加するが……現実と虚構の狭間で繰り広げられる惨劇に、若き探偵が挑む!
内容説明
私立都筑台高校2年生にして、弱小映研部長の遊佐渉は、新進気鋭の女性映像作家・真壁梓が、夏休みを利用して行うビデオクリップ制作のスタッフとして、撮影合宿に参加することに。そこには、美貌の1年生樋口真由の姿もあった。かくして、廃校となった中学校の校舎を改装して作られた山の中のスタジオでの撮影合宿が始まる。しかし、キャストとして参加していた女子生徒の一人が撮影中に突如倒れ込む…。なんとその生徒の胸には、クロスボウの矢が深々と突き刺さっていた!?真由は残された映像をもとに超絶推理を始めるが、合宿は凄惨な殺人劇へと変貌してゆく―。
著者等紹介
長沢樹[ナガサワイツキ]
新潟県生まれ。2011年『消失グラデーション』で第31回横溝正史ミステリ大賞“大賞”を受賞し、同作でデビュー。デビュー作にして「このミステリーがすごい!2012年版」(宝島社)、「2012年本格ミステリ・ベスト10」(原書房)にて、ともに第6位を獲得(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ひめありす@灯れ松明の火
112
重たい紺を脱ぎ棄てて、千切れそうな白を身に纏って。膚を覆う薄いリネン。緩めたタイとうっすら透けた下着の線。少女達は軽やかに、少しだけ淫靡に校庭を走り出す。一生に一度の夏休みが始まる。美しき先輩、バンドガールに他校生。夏合宿の非日常、殺人事件の非日常。重なり合うノイズに生まれた揺らぎ。夏服のフリッカーはめまいと倦怠感と吐き気を催して。パースペクティヴの乱れ世界平衡感覚失って。夏服の消失点は全てが終わった後。あるいは全ての始まりで。夏服の似合う少女を独り失った、それはまだ夏休みの終わりあまりに遠い日の出来事。2013/05/15
takaC
107
ダラダラと長いのを我慢して読んだけど、ただ長いだけの話で読み疲れた。「戦慄の仕掛け」って何さ・・・2013/04/27
ダイ@2019.11.2~一時休止
99
樋口真由その2。2作目なのに1作目よりも前の年の話。ありえないようなトリックに騙されて面白かった。2013/11/12
ちはや@灯れ松明の火
82
夕暮れの校庭に長く伸びた影、夏がふたりの距離を変えていく。名門女子校音楽ユニットのビデオクリップ撮影、作業スタッフを追うドキュメント制作、空を切り裂く悪意の矢、回り続けるカメラが曖昧にする現実と虚構の境界。彼女の掌の上の非日常、声に出さない負の感情が陰影をつける夏景色。ほんの少しだけ、パースが、歪んだ。斃れた身体、流血の断片、現実を狂わせていく虚構。創ろうとしたもの、壊そうとしたもの、すべての線がひとつの点に吸い込まれて描き出されるパースペクティヴ。夏服の君が見せた様々な表情は、近くて遠くて、眩しくて。 2012/12/15
みっちゃん
75
前作には見事に騙されたので、次の作品が楽しみでした。でも前半はひたすら我慢。真壁の傲慢さと「夏フリ」と「リアル」の一々の線引きにイライラ…後半「リアル」の事件が起き出してからは、どんどん頁が進みました。事件の犯人や構図、プロローグのクロスボウ殺傷事件との複雑なつながりは、前作のような驚きはないけど面白かった。ただ今作のラストから何か衝撃的な事があって〜の前作の始まりなんですよね。作者しか知らないそれがとても気になります。2012/12/07
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- 和書
- 石組と池泉の技法