出版社内容情報
だから、きっと、ふるさとは還ってくる??!!
2008年6月14日。栗駒山のふもと共英村は凄まじい揺れに呑み込まれた。不安と絶望に呑み込まれそうな時間の中、村民たちを励ますのは開拓時代の熱い記憶??古くてあたらしい、日本の成長物語!
内容説明
2008年6月14日。栗駒山中腹の共英地区は凄まじい揺れに呑み込まれた。崩れる山、倒壊する家々、故郷の危機に胸引き裂かれる智志、そして、祖父が行方不明に!いつ終わるともしれない捜索活動の中、智志を奮い立たせるのは、かつて祖父が話してくれた、戦後開拓時代の物語―シベリアからの帰還、村づくりの苦労、仲間の死、初めて電気が灯った日、起死回生のイチゴ栽培―土と汗と涙と、なによりも笑いに満ちた、「あのころ」と「いま」の物語。
著者等紹介
熊谷達也[クマガイタツヤ]
1958年宮城県に生まれる。東京電機大学理工学部数理学科卒。97年『ウエンカムイの爪』で小説すばる新人賞を受賞しデビュー。2000年『漂泊の牙』で新田次郎文学賞を受賞。04年『邂逅の森』で山本周五郎賞・直木賞の初ダブル受賞を果たす(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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ぶんこ
55
2008年の宮城県栗駒山での地震の場面から始まり、智志の祖父耕一が行方不明となる。その開拓一世である耕一の、開拓民となるまでと、開拓の初期の過酷な日々が感動でした。一世たちの難局を切り開く団結力と、落ち込んだままではいない大らかさがすごい。特に電気が通った日の描写には胸が熱くなりました。1966年11月中旬といえば都内では電気は当たり前。その違いに愕然。電灯の次はテレビを欲しがるかと思った子どもたちが、売りに出されそうだった飼い牛の桃子に電灯をつけてと言ったのにも涙。地震の凄さよりも耕一の凄さに感動。2021/03/19
ゆみねこ
55
2008年の岩手宮城内陸地震をベースに、栗駒山にほど近い栗原耕英地区をモデルに書かれた物語。本書の中では共英地区となっている、その地域に暮らす開拓民三世代の家族を中心に描かれていて、中々読み応えがあり面白かった。開拓一世の耕一の苦労、二世耕太・三世智志と続く開拓村の歴史としても。山が一つなくなるほどの直下型の地震、犠牲になられた方の冥福を祈りたい。2013/10/23
藤枝梅安
54
栗駒山中腹の開拓村・「共英地区」を舞台に3世代の人々描いた感動作。終戦間近、開拓移民団として満州に渡った大友耕一は終戦後シベリア抑留ののち故郷に帰るが、先に帰国したはずの家族は誰一人帰還していなかった。そこから耕一の苦難が始まる。まともな道路もない共英地区での苦しい生活を耕一は「抑留生活よりはマシ」と努力を続ける。子供が生まれ、孫ができ、80歳になったても元気な耕一である。そんなある日、栗駒地区を直下型地震が襲う。孫の智志の「今」と耕一の語った「過去」が交差し、人々の営みが鮮やかに蘇る。2013/07/23
まーみーよー
37
良書。すごく良かった。戦後の開拓1世の祖父世代と2008年の開拓3世の孫世代とを交互に描く。特に祖父耕一の開拓の苦労と逞しさが素晴らしく、共栄地区の開拓民を応援する気持ちでどんどん読み進める。現代のパートは2008年宮城内陸地震についての話で、せっかく切り拓いた共英地区が地震でずたずたになってしまう所に胸が苦しくなる。モデルとなった栗原市耕英地区に思いを馳せながら本を閉じた。読んで良かった。2025/03/29
百太
34
イベント【東日本大震災・あの日を忘れない】参加中。 本書は、東日本大震災以前に起きた岩手宮城内陸地震と、この町の開拓当時の話です。 面白かった~!開拓と言えば北海道の話ばかり読んでて・・県内でも開拓って有ったんだとびっくり(苦笑)。たまり方もスバラシイ~。開拓地で初めて電気がついた時の様子を読みながら、震災から4日目避難所に電気が灯った瞬間の喜びを思い出しました。 2016/03/06