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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ehirano1
94
信長や秀吉は二流だったという著者のある意味衝撃的見解に感服。そして如水は一流の漸近線(限りなく一流に近接するが、決して一流と交差しない≠一流)であると著者は言います。著者にとっての一流は家康。よくよく思い出せば、はなから本書に登場した武将達は常に家康と対比されていましたね。2025/02/13
メタボン
38
☆☆☆☆ ファルスの「木枯の酒倉から」「風博士」は斬新で軽妙な文体が面白い。黒田如水を主人公に据えた歴史小説「二流の人」は歴史の事実と違うところが多々あるようだが、秀吉や家康といった偉人の捉え方が独特で良かった。月から降りて来た天女に恋して笛を返さない大納言が死に至るのが何だか切ない「紫大納言」、真珠湾攻撃の特攻隊を二人称で語る「真珠」、既読の「白痴」は空襲の中で女を抱え歩く描写がやはり名文、おメカケ気質を描く「青鬼の褌を洗う女」。安吾の代用教員時代をモデルに描く「風と光と二十の私と」。2020/08/08
酔拳2
28
坂口安吾先生は初読みです。興味はあったけど、国語の教科書に出てくるような人の作品って手に取りにくい。で思い切って読んでみたが、正直いまいちわからん。そんな中でも二流の人は歴史物で面白かった。黒田如水に始まり、如水に終わるてんかいだけど、途中秀吉目線や家康目線もあり、戦国時代末期をそのまま描いた感じ。白痴は人間の多面性がテーマな話が多いのかな?他にも短編いつくかあります。2022/09/17
夜間飛行
13
33年ぶりに読んだ。印象が変わらないのは「木枯の酒倉から」で、混沌の中から聞こえる作者の呻き声に、ぎりぎりの真実が感じられる。読後感が大きく変わったのは「白痴」で、昔はたいそう陰惨なものに思えたが、いま読み返してみるとむしろ牧歌的に思える。「その家には人間と豚と犬と鶏と家鴨が住んでいたが」という書き出しも、メルヘンのようだ。空襲による猛火のさなかを白痴の女と二人で逃げていく場面は感動的である。ここは伊勢物語の道行きのように美しい。この女性が知性を持って生きる姿こそ、「青鬼の褌を洗う女」のサチ子であろう。2012/11/28
モリータ
12
短編オムニバスに白痴が入っていたので、そこから母の古い文庫から風と光と二十の私と・青鬼の褌を洗う女・二流の人、の順で読み、古本市で購入。世間でもてはやされているほとハマる理由はまだわからないし、「木枯の酒樽から」は単純に読解できなかったので、先入観で読むのはよして、「白痴」や「青鬼の〜」にあった鋭いものの見方を拾っていく感じで。2016/05/13