内容説明
「お籠りの家」結界が張られた山奥の家で、七つのルールを守り「おこもり」をした少年の七夜の体験。「予告画」周囲に不幸が続く無口な児童の描く絵が、凶事を暗示することに気づいた新米教師の記録。「某施設の夜警」ある新興宗教の世界観を表した奇天烈な施設で、夜毎の異変に遭遇した警備員の述懐。「よびにくるもの」法事に訪れた片田舎の旧家で、蔵の二階の“何か”を呼んでしまった大学生の告白。「逢魔宿り」散歩で通う四阿に、雨の日の夕刻必ず現れ、怪談を語りだす家族に狙われた装幀家の回想。…そして、蒐集した怪異譚を小説として発表し続けた作家の顛末。著者史上最恐短編集。
著者等紹介
三津田信三[ミツダシンゾウ]
2001年『ホラー作家の棲む家』でデビュー。ホラーとミステリを融合させた独特の作風で人気を得る。10年『水魑の如き沈むもの』で第10回本格ミステリ大賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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starbro
272
三津田 信三は、新作中心に読んでいる作家です。本書は、私小説的連作短編怪異譚でした。オススメは、『予告画』&表題作の『逢魔宿り』です。 https://www.kadokawa.co.jp/product/322005000386/2020/10/20
みっちゃん
174
ひいぃ。恐い怖いコワイ。これは実話怪談風のフィクション、てお願いだから言って下さい、三津田先生!「お籠りの家「予告画」「某施設の夜警」「よびにくるもの」どれもこれも、結局何だったのか、因縁も真相もわからず。何一つ解決せず。ただ意味不明の恐ろしい事が降りかかる。そして最終話。またまたはっきりしないのに、間違いなくこれらの怪異は繋がっている、と確信される恐怖。「もちろん五つめの話やないか」絶対聞きたくないのに知りたい。ああ、ピンポーンが鳴ってあのモノが呼びにきたら、どうしたらいいのか…#ニコカド20202020/12/19
ちょろこ
163
まだ読みたいホラーの一冊。五編のホラー、これぞホラー、っていう感じ。秋の陽が差す暖かい時間に読んでいるにもかかわらず背筋が寒くなるのはなぜ?鳥肌が立つのはなぜ?な時間。ヒタヒタ迫る怪異に心はジリジリ後退り。中でも「お籠りの家」の時代設定と風習を絡めた恐怖のブレンドが最高の味わい。表題作「逢魔宿り」は雨のあずまやでの勝手に語られる語り、次第に気持ち悪さに取り憑かれていくその感覚が絶妙。まさに読み手の心にも“あまやどり”されたような恐怖。なのにまだ読みたい気分にさせられる…これって最高。#ニコカド20202020/11/04
nuit@積読消化中
120
「某施設の夜警」新興宗教団体の十界苑と言われる一見彫刻の森美術館風な奇妙な空間の夜警のバイト。コワイ〜!こんなバイト絶対お金積まれても出来ない。この夜警話だけは、深夜に読むのはお勧めしませんよ〜。「お籠もりの家」「よびにくるもの」は著者得意の土俗的な怪異譚が好き。2020/12/11
ままこ
118
ゾワゾワと後を引く五篇のホラー短編集。「お籠りの家」ジワジワ迫り来るホラー。おばあさんはどうなったのだろう…。「予告画」なるほど伏線はちゃんと張ってあった。無意識も意図的もゾッとする。「某施設の夜警」夜の警備はただでさえ怖そうなのに…。「よびにくるもの」理不尽でとにかく怖い怖い。「逢魔宿り(あまやどり)」は奇譚締めに相応しく意味深タイトルも絶妙。不気味な伝承と魔物のしつこさに慄きながら怖面白かった。【月イチテーマ@今年の本】#ニコカド20202020/12/15