内容説明
台所に立っていると落ち着く。料理をすると心が凪いでいく。だからわたしは、最愛の夫が死んだ今日も包丁を握る。「彼の肉」で美味しい料理を作るために。日増しに美しくなる娘に劣情を抱く父親、コンビニ店員に横恋慕した孤独な作業員―「異常」なはずの犯罪者たちの独白を聞くうち、敏腕刑事・長谷川英太郎には奇妙な感情が湧き…。供述が生んだ悲劇とは!?あなたの心奥にひそむ欲望を刺激する、予測不可能な犯罪連作短編集。
著者等紹介
大石圭[オオイシケイ]
1961年、東京生まれ。法政大学文学部卒。93年、『履き忘れたもう片方の靴』で第30回文藝賞佳作となる(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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みどり
10
この人の描くものは、多くが性描写を多分に含んでいて 好みではないのですが、この連作集に関しては、そのがないと成り立たないラストになってしまっているので、 ちょいと辟易しながらも読んでしまいました。 まあ、刑事事件の大半は、痴情のもつれですしね、というお話です。 2020/08/29
nil
9
「舐めたい。食べたい。ひとつになりたい。 」という煽り文句にキャッチーなタイトルとそこそこ期待していたのだが、残念なことに自分好みの作品ではなかった。所謂エログロかと思いきやグロ要素はほぼ見当たらず、辛口な表現にはなるが描写が陳腐で四章とも同じような表現が続くため代わり映えがなく単調に感じてしまった。全体的にもう一捻り二捻り欲しかったというのが本音。ただ冬の章の料理の描写は空腹時には危険な程魅力的だった。他にも何作か著者の作品に気になるものがあったが暫し見送ろうかと思う。2020/08/26
まゆこ
8
★★★☆☆2020/09/12
ぽっぷこーん
8
読みはじめた途端、いつもの大石Word、お決まりの強引、服従の官能シーンが目立つ←(そんなにいる??そのシーン)しかし難しい事は考えずに読めるので、なぜか好きな作家に入るし、なぜか読んでしまう(笑)今回は官能シーンは少なめ。だから中身があった。溺れる女は官能シーンだらけだった(笑)ちなみに短編集である。英太郎の章、春の章は自分好みだった2020/09/02
シュナ
6
大石さんの作品は官能シーンが多いイメージがあって少し遠ざけてたけど、今回は読んでみた。もちろん?官能シーンもあるけど、出てくる登場人物がまぁ、不快で不穏。でも、読み進めちゃう、そんな作品。 “正義感の強い”刑事は大変ね。2020/09/12