内容説明
バツイチ44歳で古書店を経営する正美は、乳がんを患ったことで実家の墓じまいを決心する。母は亡く、小児科医の父も高齢。兄姉はまったくあてにならず、自分に何かあったら家は完全に無縁仏だ。抗がん剤の相談を進めつつ、あれこれ思案する正美。しかし突然父が亡くなると、愛人疑惑が発覚するは、遺産分けのなかった兄夫婦が警察沙汰を起こすは。どうなる墓じまい?現代のお墓事情がしっかりわかるイマドキの家族小説。
著者等紹介
堀川アサコ[ホリカワアサコ]
1964年青森県生まれ。2006年『闇鏡』で第18回日本ファンタジーノベル大賞優秀賞を受賞してデビュー(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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ゆみねこ
95
乳ガンを患った44歳の古書店経営者の赤石正美。バツイチ子無し、老齢の父はいるが兄姉は全く頼りにならない。先々のことを考え抗がん剤治療を受けながら墓じまいを敢行する。正美のパワフルさは中々のもの。これからの時代、お墓について色んな選択肢がある。久々に読んだ堀川さん、面白かったです。2021/03/30
mihya
76
タイトルを見て迷わずDL。墓じまいは身近な問題。今すぐに…とは考えてないが、近い未来には必要になる。状況が違うので丸っと使える情報ではないが、かなり参考になる。 そして、乳腺外科や婦人科に定期的に通院し、経過観察状態の私には癌のことも明日はわが身。治療や気持ちについても参考になった。 登場人物も魅力的だったり個性的だったりで面白かった。主人公がなかなかパワフルで実行力のある女性。私、こんな風に出来るかなぁ。2023/03/08
kei302
62
展開が速くて、あれよあれよという間にずいずいと進む。正美の父の遺言にちょっと感動。そして、こっそり書いていた小説に しんみり..。 兄の暴言は許せん💢 拳骨で殴って正解だ。 終活って、ここまで考えておくことなんだと、しみじみ思った一冊でした。#ニコカド20202020/12/27
あつひめ
57
失くしてみてからわかることって本当にたくさんある。もう時間を巻き戻して改めて手に入れることができないから余計に心に沁みてくるのかもしれない。我が家は墓じまいをする前にまだ更地のうちに手放した。自分たちのこれからの行く先もまだ不安定だが、子や孫を煩わせたくないと言う思いがあった。様々な手続きの話を読むうちに物語と現実世界を脳みそが行き来した。そして親子関係も。他人しか知らない本当の親の優しさ。親子ってどこかお互いにええカッコしいのとこがあるよな。私も娘にはキツイかもなんて反省して本を閉じた。2021/09/05
yamatoshiuruhashi
56
乳がんの手術をした主人公。小児科開業医ながら横暴な父。将来を医師と父に決められ束縛されなが期待に応えられず家を出た兄。そして障害児の姉。主人公の現況、家庭環境は列挙すれば暗い。でも結局、子を見るに親にしくはなし。子が思う以上に父は頑固親父の向こうに家族を見ていた。兄も結局妹をよく理解していた。……綺麗事やんか!腹が立つ気もするが、登場人物がそれぞれに抱えた重荷、不幸を考えるとこれくらいのほっとするエンディングは許されるよなぁ。2021/10/01