内容説明
中学時代、駅伝に打ち込んでいた圭祐は、あと一歩のところで全国大会を逃した。陸上強豪校に進学を決めるも、交通事故に遭い入部を断念する。目標を失っていたところ、脚本家を目指す正也に声の良さを買われ、放送部に入部することにした。次第に活動にのめり込んでいった圭祐は、全国高校放送コンテストを目指して、ラジオドラマ制作に挑戦するが…。正也が脚本作りの極意を学ぶ、番外編「ラジオドラマ」も特別収録!
著者等紹介
湊かなえ[ミナトカナエ]
1973年広島県生まれ。2007年に『聖職者』で小説推理新人賞を受賞。翌年、同作を収録した『告白』でデビューし、09年本屋大賞を受賞。12年「望郷、海の星」で日本推理作家協会賞短編部門を受賞。16年『ユートピア』で山本周五郎賞受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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イアン
175
★★★★★☆☆☆☆☆放送部を舞台とした湊かなえの青春小説。交通事故で陸上を断念した圭祐は、同級生・正也の熱心な勧誘の末に放送部に入部することを決意するが…。駅伝のメンバー選考の真相にやや驚きはあるものの、本当にこれが湊作品かと思うような作風の変わり様。例えるなら、行きつけの蕎麦屋がある日突然「パスタを始めました」みたいな。放送部をどこか見下していた圭祐が、正也や咲楽に感化されながら徐々に活動にのめり込んでいく様子や、他校の作品を講評し合う場面にはリアリティが感じられた。でもやはり蕎麦屋では蕎麦を食べたい。2021/03/20
koji
128
娘の本棚から拝借した1冊(暗黙の許可は得ています)。恐れ入りました。イヤミスじゃない湊かなえさん、驚きですが素敵な1冊でした。舞台は、まさかの高校高校放送部。私がとても気に入ったのは、高校生たちが本音をぶつけて真剣に話し合う場面。沢山登場します。例えば、舌鋒鋭く容赦ない二年生の白井先輩VSよれよれの軟弱な三年生。しかしアプローチは違うけど、みんなが根底に放送部愛を持っているのが好ましいですね。中学、高校入試に多数出題されたそうですが納得。さてやっぱり気になるのは、正也と圭祐と良太のその後。続編読んでみます2024/12/25
へくとぱすかる
108
ミステリ要素なしの青春。同じ部活でも、なぜか文化部は運動部と比べて地味だと思われがち。陸上部から放送部というシフトへのためらいが、ごまかしなく描かれるのも作品の価値。みんながみんな味方ではないのも、学校生活を現実的に描いているだろう。テーマにラジオドラマが採用されているだけに、作者はは作中作としてのドラマも創作しなければならなかったのだから、この小説も生半可ではない。陸上と放送との間でゆれる心も、人間的にはありがちで生々しい。ラストは明白には書いていないようだが、よく読めば「なるほど」と納得できるだろう。2023/02/09
サンダーバード@永遠の若者協会・怪鳥
103
あのイヤミスの女王湊かなえが書いたとは思えないくらいの白湊。ど真ん中ストレートの青春物ですね。高校入学前に交通事故に遭い陸上競技を諦めた主人公が、同じ中学出身の友人に誘われて放送部へ。全く未経験のラジオドラマを制作し全国コンクールに挑戦する。友情、いじめ、部活での先輩後輩の軋轢。まぁありがちな定番の展開ではあるけど、爽やかな青春物を楽しめました。湊さんもこんな話を書けるのだなぁ。文庫本おまけの短編も面白かったです。読むだけで脚本の基本の基がわかります。(笑)★★★+2021/03/23
坂城 弥生
98
青春ものは正直苦手意識があって、でも湊かなえさんの作品だし…と手に取りました。純粋に面白かったと思います。特に「ケンガイ」への見当外れな批評に怒りを感じるシーンが好きでした。誰かに相談すれば良かったのに、とか逃げれば良い。大人が言うのは確かに簡単です。でもそれはどれだけハードルが高いのか当事者にならないと気づかない感情だと思う。それが描かれていたのが素直に素敵だと感じました。2021/02/04
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