内容説明
金沢城で生まれ育ったお姫さま、勇の結婚相手はわずか生後半年で決まった。絢爛豪華なお輿入れ、結婚7年目でようやく授かった愛娘の死、傾きだした藩の財政を立て直すために夫婦で知恵を絞り、力を合わせた日々―。江戸末期、大正、昭和。不思議な縁でつながる3人の女性たちは、聡明さとしなやかさで真の幸せを探し、自らの手でつかみ取る。今を生きる女性にも通じる、それぞれの時代の自由と結婚にまつわる3つの爽快な物語。
著者等紹介
高殿円[タカドノマドカ]
1976年兵庫県生まれ。2000年『マグダミリア 三つの星』で第4回角川学園小説大賞奨励賞を受賞しデビュー(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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kei302
41
文庫解説は書評家の藤田香織さん。風習や家格、女性の生き方の変化の少なさを再認識した感じです。KindleUnlimited2023/12/04
るぴん
37
加賀前田藩主の三女として生まれ、分家の小松藩に嫁いだ勇、海外育ちのため、日本の窮屈な華族関係に馴染めない万里子、伯爵家に生まれながらも家が没落し、舞台女優としてデビューした花音子。幕末〜昭和初期まで、家というしがらみに翻弄された3人の女性の物語。「政略結婚」というよりは「家」そのものを強く意識させられた。「プリンセス・クタニ」で、万里子が自分のルーツである小松を訪れた場面が印象的。自分にとっては邪魔な家名でも、それを誇りに思い、よすがとして生きる人々もいる。いつの時代でも、何かを背負って生きるのは大変だ。2020/10/05
鐵太郎
22
三編の連作中編で、直接の関係はないのですがあるアイテムで繋がっています。まず、「てんさいの君」。江戸末期に加賀大聖寺藩に嫁いだお姫様(この人だけ実在)の苦闘記。このお話だけは政略結婚といえるかもしれません。「プリンセス・クタニ」。明治半ばにパリで生まれた小松前田家のお嬢様の物語。帰国子女として学習院でも家庭でも浮いた存在だった彼女の思いとは。「華族女優」。戦後の華族制度廃止の中で没落した深草伯爵家の令嬢は、どう生きたのか。 ──時代を三つの別々な視点で切り取った、見事な物語です。2021/09/23
さっとん
18
☆32023/08/18
まつこ
15
3つの時代で繋がる女性たち。生き方は皆違うけど、どれも好きです。大正時代が舞台の「プリンセス・クタニ」がロマンチック!女性はやっぱり強い。2021/04/09