出版社内容情報
ジョージ・オーウェル[ジョージオーウェル]
著・文・その他
田内 志文[タウチ シモン]
翻訳
内容説明
「ビッグ・ブラザーが見ている」党があらゆる行動を監視し、言語も思想も管理された近未来世界。過去の捏造に従事するウィンストンは記憶と真実を留めるため、密かに日記を書き始めた。若い娘ジュリアから意外な愛の告白を受け逢瀬を重ねる中、伝説の反逆組織の男に声をかけられ、禁断の本を入手する。だがそれは恐るべき未来への扉であった―圧倒的リーダビリティの新訳で堪能するディストピア小説の最高傑作。
著者等紹介
オーウェル,ジョージ[オーウェル,ジョージ] [Orwell,George]
1903‐1950。作家、ジャーナリスト。イギリス統治領インド生まれ。名門イートン校で学んだ後、ビルマの各地で警官として勤務、職を辞して帰国。ロンドンとパリで放浪生活を送りながら33年に初の著書『パリ・ロンドン放浪記』を刊行。スペイン内戦時には民兵の一人として参戦、後年そのルポルタージュ『カタロニア讃歌』を発表。執筆を続け名声を得たのは寓話『動物農場』(45年)であった。50年、ロンドンで死去
田内志文[タウチシモン]
1974年生まれ。主な訳書にコナリー『失われたものたちの本』(創元推理文庫)、エイヴヤード『レッド・クイーン』シリーズ(ハーパーBOOKS)、他多数。元スヌーカー選手(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
アナーキー靴下
90
3年前に早川版を読んで以降、音楽に心震わせられる時、いつもこの話を思い出すようになり、いつか再読をと思っていた。言葉と共に概念が消え去るなら気付きさえしない、しかし音楽から受ける情動が繋がる概念が失われているのだとしたら? トランペットの高揚感の繋がり先が一つしか残されていないとしたら? また、以前は支配と洗脳という重苦しい話に思えた全体像が、まるで人間性の円環に閉じ込められたような、痛切だが美しい物語であるように思えた。社会というものは、自分自身を引き延ばし、増幅させたものにしかなり得ないのではないか。2021/07/03
夜長月🌙新潮部
86
反共、全体主義批判よりも現代につながる監視社会批判に恐さを感じました。1984年、このディストピアは常に監視されています。そして我々も。スマホ、パッドを通じて私たちの情報は漏れています。それをもう手離すことはできません。個人としてこの現在の世界にあなたはどう対応しますか。いつまでも警鐘を鳴らし続け、考えさせられる作品でした。語り継がれるべき名作です。2022/10/31
キク
68
名作といわれるし1Q84の元ネタでもあるので、気になってはいた。で、最近誘って頂いた読書会の対象本が「1984年」だった。初めての1984年と読書会をまとめて経験してみようと読んでみた。ド嬢神林が愛する黒表紙の早川epi 版ではなく、去年出た角川の新訳。今までが全て「1984年」だったのに対して、タイトルから年がなくなり「1984」になっている。1Q84との関連性は伝わりやすいけど、本家が寄せていってどうする。鋭い社会洞察で、時の経過で風化してないどころか、むしろ今の方が新しくなってる稀有な名作だった。2022/10/09
みねね
52
これはヤバい。ヤバすぎてヤバい。マジで全体主義エグすぎて引くわ。人権どころか個人って概念ないのキツすぎん? ウィンストンがガラスの文鎮に尊さ感じてるシーンがエモさマシマシだったせいか、ぶっ壊されるのが辛くて病んだ。ゆとり世代してきた割には社会激しすぎてしんどみの毎日だけど、もっとみんなでエモさ大事にしないと近い将来1984みたいな世界になりそう。予言の書すぎて草。/ 現代語、まさしくニュースピーク。2023/09/23
スター
48
昔早川文庫で読み、今回角川文庫新訳で再読したが、やはり面白かった。1949年刊行で、その時点では未来の1984年の英国が舞台。 世界は3分割され、英国は独裁国家オセアニアに組みこまれている。主人公のスミスはオセアニアを支配する党の党員だ。 スミスはプロパガンダを流しながら、党員の日常生活をカメラで監視する装置に怯える人生に疑問を持つようになるが……。 スミスをはじめスミスの同僚、隣人達等、登場人物の人間性が生き生きと描かれ、作品世界を堪能。優れたSFは、人間がよく描かれているものと再認識。2022/09/21