出版社内容情報
オー・ヘンリー[オーヘンリー]
著・文・その他
越前 敏弥[エチゼン トシヤ]
翻訳
内容説明
1ドル87セント。クリスマスを翌日に控え、若妻デラが愛する夫へのプレゼントに費やせるのは、たったこれだけ。でも、夫にどうしても価値のある贈り物をしたい。デラは、自慢の髪を売る決心をする―(「賢者の贈り物」)。アメリカ文学史上、屈指の短編の名手オー・ヘンリー。300編近い作品のなかから、もっとも有名な表題作をはじめ、「警官と賛美歌」「金のかかる恋人」「春の献立表」など16話を収録。
著者等紹介
ヘンリー,オー[ヘンリー,オー] [Henry,O.]
1862年~1910年。アメリカの小説家。テキサスで薬剤師、銀行員、新聞記者などの職を経験するが、横領の疑いで収容される。服役後、本格的に作家活動を始め、ニューヨークに移リ住み亡くなるまでの約8年間で、数多くの作品を発表する。アメリカ文学史上で屈指の短編の名手と言われる
越前敏弥[エチゼントシヤ]
1961年石川県金沢市生まれ。東京大学文学部国文科卒。学習塾自営、留学予備校講師などを経て、37歳で翻訳家に(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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海猫
95
オー・ヘンリーの作品集が新訳で出ていたのを知り、読んでみた。どの話も短くてオチにどんでん返しがあるので、ショートショート的に読める。都市小説として情感と哀愁があり、各編じんわり沁み入る感覚があった。収録の16話のうち読んだことがあるものは4作あり、あらためて読んでも面白い。特に「自動車を待たせて」は好きな話なのでまた読めて良かった。ゴッホの絵をあしらったカバーが素敵。こういう雰囲気のある「夜のカフェテラス」で、一編一編読んでいけたら贅沢な気がする。第二集がもうすぐ刊行されるようなので、楽しみにしておこう。2021/02/12
鱒子
81
ずいぶん前に読んだOヘンリー短編集はどの出版社だったかよく覚えていませんが、ウィットに富んだ素敵なお話しばかりだったような記憶が。しかし、本書はシニカルな話ばかりです(個人的にはこっちの方が好み)。しかぁし、この本全ての短編の冒頭にはあらすじが付いているのです。オチの直前まで書いてあるのです。——それいる?短編だよ?という気持ちがムクムクとわいてしまいます。2021/01/18
坂城 弥生
50
表題作の賢者の贈り物は内容が有名なので、知っていたけど、作者は知らなかった。勝手に聖書の中の話だと思っていた。2020/12/07
シフォン
40
オー・ヘンリーは、賢者の贈り物、最後のひと葉は以外は初読み。この傑作は、表紙のゴッホの夜のカフェテラスが似合うニューヨークを舞台の16作。時代や国が異なるため、理解できない部分も多いが話のひっくり返し方がすごすぎる。賢者の贈り物は、とても美談な話だと思っていたのだが、これらの短編と並べると落ちだったのかと疑ってしまう。2020/12/30
ほりん
36
オー・ヘンリーの短編集。「警官と讃美歌」「賢者の贈り物」「桃源郷のはなかき客」「春の献立」など16編。ニューヨークを舞台にした作品が多い。慎ましく懸命に生きる庶民には温かい結末を、見栄っ張りや下心のある者には辛辣な一撃を…。といっても単なる勧善懲悪ではなく、不条理や人生のどうにもならない哀しみが、塗りこめられている。「ハーグレイヴズのふたつの顔」では、かつて南部の大地主だった、誇り高き老人が登場する。時代遅れの老人の哀愁を描きながらも、温かい目で見つめているのが感じられて、好きな一編。2022/09/12