内容説明
生産性のない人材には、価値がない!?大手人材派遣会社の新入社員・北原直人は「人財島」なる研修施設へ出向を命じられる。そこは生産性の高さによって人々を区別し、上位者にのみ退出を許す悪辣な追い出し島だった。スマホさえ奪われた隔離状態のなか、与えられたのは炎天下での過酷な肉体労働。北原は島で出会った人々と脱出の計画を立てるが…。現代社会の「働き方」に異を唱える、唯一無二のブラックお仕事小説!
著者等紹介
根本聡一郎[ネモトソウイチロウ]
1990年生まれ。福島県いわき市出身。東北大学文学部卒業。東日本大震災をきっかけに、学生時代からのNPO活動と並行して小説を書き始める。2016年、Kindleダイレクト・パブリッシングで個人出版した『プロパガンダゲーム』が大きな話題を呼び、17年大幅改稿を経て双葉社より書籍化(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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タルシル📖ヨムノスキー
32
大手人材派遣会社に就職した北原は、新人研修中にある提案をして通称〝人財島〟と言われる離島に出向となる。しかしその島の正体は人を「人罪→人在→人材→人財」と区別しそれぞれの階級に合わせた労働をさせる施設だった!…ん…待て?どっかで聞いたことがある話だと思ったら、あの超有名なセリフ「キンッキンに冷えてやがる」が聞こえてきそうな場面とか、裏カジノのカラクリを見破って大逆転!なんて場面まであって、コレ〝カイジ〟じゃん!なんて思わずツッコミそうになったが、人間社会とはどう在るべきかの一つの提案がされていてよかった。2021/09/07
shikada
26
「生産性がない」人間が送り込まれて、研修という名のブラック労働を強いられる人財島。いまの日本社会をうまく風刺する面白さがあると同時に、笑い事じゃないな、とも感じる。作中に描かれるえげつない社会問題は、一見大げさに描かれているけれど、よく見ると身近にありふれていて、現実の社会が徐々に地獄に近づいていっている。自己責任論に基づいて人を都合よく使い捨てることに対する、著者の方の静かな怒りが伝わってくる。現代日本は「普通」のハードルが上がって、プレッシャーがやたらと強いわりにセーフティネットが弱い社会だよな…。2020/09/24
mayu
19
新入社員として入社した会社で意見を言ったが最後、生産性のない人間とみなされ「人財島」と呼ばれる島へ出向に。携帯を取り上げられ、腕にはリングを嵌められランクですべてを管理されるデストピア。育成官の横暴な姿や低いランクをアリと呼び、描写はもはやカイジの世界なのだけど感染症、YouTuber、SNS、メディアの姿がリアルで、現実にあってもおかしくないと感じるし色々考えさせられた。それが例え正しくとも余計な事を言う人間はいらないとされる所には共感しかない。読む手が止まらず、一気読みしてしまった1冊。2020/10/05
ROOM 237
16
社会のレールから外れた人達を島に集めて強制労働させる人材育成企業に抗う若者の視点で描かれたライトプロレタリア文学。ハイテク軍艦島を思わせる島内では住み分けや職業が4段階ごとに決められ、完全階級社会に突如放り込まれた主人公がRPGよろしく乗り越えたり挫折しながら生きる姿に応援したくなる。「社会の役に立つ存在」について考えさせられつつも、著者が若い男性故か女性に対する憧れの描写と気恥ずかしくなるようなやり取りになんだか…なんだか…あーあー (←黒歴史思い出した時の声) と声を出したくなるようなライトプロ文。2021/03/02
MJ
15
主人公がダメ人間過ぎて全く感情移入できないし、全ての設定が幼稚過ぎてリアリティを感じられませんでした。いっそのこと星新一的なユーモア溢れるSF仕立てにした方が良かったのでは?2023/11/14