出版社内容情報
死んだ夫と交信する女性、妻の乳房に執着する夫、 若奥様になることに憧れる少女。 百人百様の人生を歩む登場人物たちが持つ意外な繋がりは一体?
内容説明
死んだ夫と交信する女性、妻の乳房に執着する夫、自分の死に気づいたタクシーの運転手…百人百様の人生を歩む登場人物たちが持つ意外な繋がりは一体?降り積もっては消えゆく、あなたの、そして誰かのお話。
著者等紹介
江國香織[エクニカオリ]
1964年東京都生まれ。87年「草之丞の話」で毎日新聞社主催「小さな童話」大賞を受賞。89年「409ラドクリフ」でフェミナ賞、2002年『泳ぐのに、安全でも適切でもありません』で山本周五郎賞、04年『号泣する準備はできていた』で直木賞、12年「犬とハモニカ」で川端康成文学賞、15年『ヤモリ、カエル、シジミチョウ』で谷崎潤一郎賞を受賞。『きらきらひかる』(1992年紫式部文学賞)、『がらくた』(2007年島清恋愛文学賞)、『真昼なのに昏い部屋』(10年中央公論文芸賞)など著書多数(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
starbro
329
江國 香織は、新作中心に読んでいる作家です。著者の新境地でしょうか? 現在&過去、100人以上の登場人物が織り成す連作ショートストーリー集、雰囲気は悪くないですが、内容とタイトルとにギャップがある感じがしました。 https://www.kadokawa.co.jp/topics/42172020/05/26
旅するランナー
235
時空間を超えて、人々の日常を同量・同質に連綿と描いていきます。夢・前世・幻・気配・精霊・あちらとの交信・どこからかの言葉として、歴然と曖昧に繋がります。未来の記憶なのか、過去の変化なのか、現在の不確実なのか、全く新しい読書体験ができます。心に訴えかけてくるものというのは、存外そこらじゅうにあるとうことを教えてくれる、せいせいした気持ちになる、実験的な作品です。2020/05/02
こーた
183
ひとり二、三頁、人物が流れるように通り過ぎていく。いや、雪だから降り積もっていくと云うべきか。描かれるのは生と死、それと若干の性。死者もあらわれ、中世から現代まで時間を行ったり来たりする。繋がりに気づいたり気づかなかったり、気づかなくても問題なく読めて、そもそも繋がってなかったりもする。唐突な転換を繰り返す僕ら読者は死者の視点か。或いはSNSのタイムラインを眺める感覚とも似ている。生活の断片を垣間見るのがこの上なく心地いい。小説ってこんなこともできるのね。ずっと読んでいられる。久しぶりの愉しい読書だった。2023/12/17
ケンイチミズバ
168
感情が揺さぶられない。何処かで見たかもしれないシーンの連続でこの前に何が?この先の展開は?となる。ストーリーがなくて情景の描写ばかり、途中から見た映画のワンシーンの集まりのようでもありました。カットがたくさん繋がれた空港での出逢い別れが連続する映画ラブ・アクチュアリーのエンディングはストーリーがあったからこそラストで綴ら折のカットの連続が感動を膨らませた。この作品は残念ながらそうではない。会話の内容で人物の物語が創造できるしとても江國さんがストーリーを創ってくれなきゃという気持ちがどうしても残ります。2020/03/23
ちなぽむ and ぽむの助 @ 休止中
144
寒い冬に、あたたかい服をたくさん着こんで真夜中に家を抜け出す。わくわくした気持ち。夏よりもしんと沈まって息は白くたなびく。頬はきんと冷えて繋いだ手だけあたたかい。この分かりやすい手のうちの幸福感が好きだと、思う。「星がとてもきれいだね」暗闇のなかにぽつりと明るいコンビニほっとする。若いカップルがにこにことお酒を選んでてバイトのお兄さんが淡々と仕事をしててたくさんの人生がたくさんの瞬間が無限に広がってて一瞬だけ重なっているこの瞬間をふしぎだと、そう思う。私たちは圧倒的に孤独で絶望的に幸福なのだと。2020/12/26