内容説明
江戸の大火で両親とはぐれ、吉原の遊郭で育てられた佐保。花魁になるための修業を重ねていた彼女には特殊な力があった。水穀の精微―食物から得られる滋養、養生の極意を、生まれつき備えているというのだ。幕府のお抱え医師の名家・多紀家の五男・元堅は、病に効く食材を言い当てる佐保の力を目の当たりにする。やがて、佐保は医学館に預けられ、病人を救う料理人を目指していく…。美味しくて体にいいグルメ時代小説!
著者等紹介
鷹井伶[タカイレイ]
兵庫県神戸市出身。甲南大学文学部卒。漢方養生指導士。脚本家(井上登紀子名義)として映画・テレビ・ラジオ・舞台作品を多数執筆。2013年より、時代小説を上梓(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ねむねむあくび♪
80
図書館本。健気で素直ないい子が主人公。読みやすい。毒がないお話に、読みやすさと同時に、ご都合主義的な物足りなさの両方を味わう。まだまだプロローグといったところ。次作に期待。2021/05/02
タイ子
77
初読み作家さん。料理小説の中でも少し違った方向から読ませてくれる作品。小さい頃火事で両親とはぐれ、吉原で育てられ末は花魁にと修行をしてきた主人公の佐保。彼女は弱った人の体を見ると何を食したら元気になるのかが判るという特殊な能力の持ち主なのである。吉原で振袖新造になる直前、ひょんなことから急遽医学館に預けられることになる。そこから、佐保の第2の人生が始まり病人を救うべく料理人の道を目指す。佐保の周りの人々の生活もなかなか面白くて佐保と彼らの行く末をまだ見てみたい。2020/03/08
ジュール リブレ
70
幕府医学館の多紀家に入った佐保、17歳。相手の顔を見ただけで必要な滋養のある食べものが浮かんでくる。まさに神医的な力を活かして大活躍。周りも味方が増えてきてこれからの活躍が楽しみ。2巻目も出たようです。 2020/09/19
kei302
63
表紙の佐保がかわいくて、きりっとしていて読む前から期待が高まります。 佐保さーん、わたしにも何の食べ物が必要か見つけて、作って~。 『みをつくし・・』のように困難や辛いことが次々とではないので、するっと読める。 薬膳的な食材の説明は身体によさそうで参考にしたいし、 多紀家の五男元堅がいいキャラだし。続きを読むのが楽しみ。#ニコカド20202020/12/29
もんらっしぇ
56
数奇な運命の主人公・佐保には特殊な能力が。体の不調を当て症状に効く食材を見出す…以前より応援している作家さん。時代小説の新しい鉱脈を掘り当て花咲かせたようでとても嬉しい♪ 所謂グルメ小説の分野ですが単純に食を描くのではなく医食同源、身体に良い食材や料理が主題。珍しく作者の「あとがき」が巻末に。好感が持てます。漢方は長きにわたる人類の経験値の英知の集積と思います。作者は本草学を相当勉強されたようですし監修の専門家もバッチリ。説得力がありますね。巻末のレシピもお約束とはいえ効能・薬膳のコメントも目新しく善し。2020/04/05