出版社内容情報
女の子特有の仲良しごっこの世界を抜け出したくて、高校を突発的に中退した美和。祖父が営む小さな銭湯を手伝いながら、取りまく人々との交流を経て、進路を見いだしていく。ほわほわとあたたかな物語。
内容説明
どうにも先が見えなくて、めんどくさくて、将来の夢もわからない―。確固たる理由もないまま高校を突発的に中退し、祖父が営む銭湯を手伝っている18歳の美和。夢も希望も自信も失ったままモラトリアムの日々を過ごしていたが、漫画原作者の佐紀さんを始めとする常連客との交流や淡い恋を経て、進むべき道を見いだしていく。まだ何者でもなかったからこそのかけがえのない青春をみずみずしく描いた、珠玉の小説2編を収録。
著者等紹介
大島真寿美[オオシママスミ]
1962年名古屋市生まれ。92年「春の手品師」で第74回文學界新人賞を受賞。2012年『ピエタ』で本屋大賞第3位、19年『渦 妹背山婦女庭訓 魂結び』で第161回直木賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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sakai
25
「戦友の恋」が大好きだったので、この世界にもう一度触れることができて幸せだった。美和ちゃん目線の佐紀さんがダサいけどかっこ良くて。自分の印象とは全く異なっていて、新鮮。「戦友の恋」再読したくなりました。2020/02/02
えりまき
19
2023(205)大好きな大島さん。「ほどけるとける」「フィルムの外」の2作品。いつもながらテンポのよい会話文に、呼吸を忘れるほど引き込まれました。大和湯で働く美和ちゃん、タエさん、小説家の佐紀さん、3Dの彼←この表現がとても好きです。解説から「戦友の恋」は佐紀さんが主人公と知り、さっそく図書館に予約。楽しみです。 2023/07/16
ドナルド@灯れ松明の火
18
「渦」で気に入った大島さん、ピエタに次いで3作目。目的のないような学生がようやく仕事を見つけるまでのほんわかした話だった。 ややお勧め2020/02/24
えつ
12
アンソロジー以外の作品は初めましての大島真寿美さん。表紙が大好きな北澤平祐さんだったので読もうと思った作品でした〜! 突発的に高校を中退した主人公の美和。祖父が営む銭湯でバイトをしながら、そこで出会う人たちと交流をし、最終的に進路を見出していくお話。最初は何だかダルいなぁ…って感じがしてたんだけど、登場人物の1人、佐紀さんが出てきてからグンっと楽しくなった!!!佐紀さんと美和の絡みが最高に好きだった。あと、弟のキャラも良かったな。読んでいてラクな気持ちになれた。そして、関連作品2作品も読みたいな。2023/03/07
だいふく
8
『戦友の恋』を読んでからの再読。佐紀さんに対する君津さんと美和ちゃんに対する君津さんの違いが面白かった。こんな風に違う視点で描き分けられていると登場人物みんなが厚みを増していくよう。今回の方がずっと楽しく読めた。2023/06/18