震える天秤

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  • サイズ 46判/ページ数 336p/高さ 19cm
  • 商品コード 9784041085493
  • NDC分類 913.6
  • Cコード C0093

内容説明

北陸のコンビニで高齢ドライバーによる死亡事故が発生した。86歳男性の運転するトラックが店舗に突っ込み、店員を轢き殺したのだ。アクセルとブレーキを踏み違えたという加害者は認知症を疑われている。事故に違和感を覚えたライターの俊藤律は、加害者の村を訪ねるが、村人の過剰な緊張に迎えられて―「この村はおかしい。必死で何かを隠している」。取材に乗り出した律は、目撃者の少女をきっかけに、続々と予想外の事実を知ることに…。

著者等紹介

染井為人[ソメイタメヒト]
1983年千葉県生まれ。芸能プロダクションに勤務し、ミュージカル、舞台演劇のプロデューサーとして活動。ソメイヨシノ名義で児童ノベルスなども執筆。2017年、『悪い夏』で第37回横溝正史ミステリ大賞の優秀賞を受賞し、デビュー(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

W-G

582
なんだかんだで新刊出る度に追っている作家さん。三作目となる今回は、あらゆる面で非常にオーソドックスなミステリ。社会派を標榜するには抉るような視点がなく、怪しい過疎の村を登場させた割には、こちらも筆力で料理しきれたとはいい難い。オーソドックスも、悪い言い方をしてしまえば凡庸となるが、相変わらず題材選びは面白く、著者の年齢も関係あるのか、会話文の言葉選びが現代的というか、低体温で距離感を失わない感じが、ある意味スタイリッシュ。読みやすさにもつながっている。もうしばらくは追う予定。2019/09/25

ウッディ

271
高齢者が運転する車がコンビニに突っ込んで起こった死亡事故。よくあるブレーキとアクセルの踏み間違いと思われた事故を取材したフリーライターは、コンビニ店員と加害者が同じ村の住民であることを付き止め、事故の裏に隠された真実を暴く。閉鎖的な村の住民の強いつながり、事故の被害者が過去に起こした交通事故、明らかになっていく事実にどんな結末になるのかワクワクしました。正義の例えとして用いられる天秤、ジャーナリストとして彼の天秤はどちらに傾くのかというのも読みどころでした。2020/01/31

いつでも母さん

256
「なんでやろう、アクセルを踏みつけとるんです」死亡事故を起こした老人・落井正三は認知症だったのかー私の母も今年免許証返納した。田舎に暮らすと車は欠かせない。運転できるのが自分の自信にもなっているのだーこの事故には伏線があって、だから心情的にこの正三を裁けない。動機は明白なのに事故と事件の線引きはどこだ。殺されていい人間などいない・・はず。フリーライター・俊藤律がその周辺を探るのだが「自分の良心に従う」と決断した思いをこの先も抱えて生きて行け。2019/09/16

イアン

254
★★★★★★★★☆☆福井弁が印象的な染井為人の長編。高齢者の運転ミスによる死亡事故を取材するフリーライターの俊藤は、加害者の出身集落での異様なまでの隠蔽を目の当たりにし、ある疑念を抱く…。法廷モノの様なタイトルで、実は私立探偵系社会派ミステリ。中盤で加害者集落を訪れた辺りから俄然面白くなるだけに、もっと早い段階で何らかの謎が提示されていてもよかったが、動機面や葛藤などの心理描写が上手く読みごたえはあった。本書を読み終えた今、福井出身者に「はよしね」と言われても落ち込まない、少し強い自分になれた気がします。2021/08/03

nobby

249
まず読了後に余韻を存分に残すタイトル『震える天秤』お見事!コンビニに突っ込んだ高齢ドライバーには認知症の疑いありとは、どんだけ自分の前職・現職に直接関わるの!?と興味津々で手にした一冊(笑)物語は当たり前に現在の風潮へ問題提起をすると思わせながら、事故なのか故意によるものか真相究明に早々に移行するのが面白い。被害者サイドが誰しも悪者感たっぷりで、加害者側が不気味なムラ社会ながらも垣間見れる素直さにどうしても肩入れしがち…だからこそ、最後に彼の取った良心に従った行動が実に読み手の気持ちを揺さぶるに違いない。2020/01/07

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