出版社内容情報
澤村伊智[サワムライチ]
著・文・その他
内容説明
おかしいのはこの家か、わたしか―夫の転勤に伴う東京生活に馴染めずにいた果歩は、幼馴染の平岩と再会する。家に招かれ、彼の妻や祖母と交流し癒される果歩だが、平岩邸はどこか変だった。さああという謎の音、部屋中に散る砂。しかし平岩は、異常はないと断ずる。一方、平岩邸を監視する1人の男。彼は昔この家に関わったせいで、脳を砂が侵食する感覚に悩まされていた。そんなある日、比嘉琴子という女が彼の元を訪れ…?
著者等紹介
澤村伊智[サワムライチ]
1979年生まれ、大阪府出身。幼少期より怪談/ホラー作品に慣れ親しみ、岡本綺堂作品を敬愛する。2015年、『ぼぎわんが、来る』(受賞時のタイトルは「ぼぎわん」)で第22回日本ホラー小説大賞“大賞”を受賞。功妙な語り口と物語構成によって、選考委員から高評価を獲得した。19年、「学校は死の匂い」で第72回日本推理作家協会賞短編部門を受賞。新たなホラーブームを巻き起こす旗手として期待されている(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
夜間飛行
225
昔の級友から家に招かれるのは気が重い。優しかったおばあさんは寝たきりになり、床には砂が積もっている。微かな違和感…は、訪問を重ねるにつれ真っ黒な裂け目を見るような恐れと嫌悪に変わる。でも断れない。この辺り、人を断ち切れない心理は自分にも覚えがあるだけに気持悪かった。その生ぬるさのせいで、おぞましいものの全体像が現れるまでのっそりと肌を撫でるような時間が流れていく。このじれったさが何ともいえず怖い。家の中は外と違う時間が流れており、それが人間関係を歪める。魔物は家という空間および時間に住むのだろう。20172020/06/21
bookkeeper
155
★★★★★ 初読。夫の転勤で東京に引っ越してきた果歩。知らない土地、多忙ですれ違う夫婦生活。満たされない毎日を送る彼女は旧友の平岩と再会し、彼の家に遊びに行くが…聞こえて来る女の呻き声、そして部屋に降り積もった砂…そこは怪異に襲われた異常な家だった。 子供の頃に同じ家を訪れ、社会生活を送れなくなった男と、霊感を持つ比嘉琴子が「ししりば」に挑む。今回も怪異が強大無比。毎回比嘉さんは命懸けです。引きこもり生活の五十嵐君が勇気を出して怪異に、そして社会に対峙していこうとする姿が感動的。うーんハズレがないなぁ。2022/06/19
absinthe
114
比嘉姉妹シリーズ。話がますます面白くなる。何か妖しいいわくのある不思議な家の物語。家が人を取り込んでいくのだが、その原理が不思議で興味深いのだが。振り回される人間達。この作家は、日本の伝統的な物の怪の話に見せかけて現代的なホラーを描く。全二作よりその風味が増している。3作続けて面白いというのは凄いな。2024/11/12
ぶち
108
【ひとり怪談/ホラー祭り2022夏】家の守り神の話。でも、壊れていて機能不全で暴走している。そんなの神じゃないよ。家に住んでいる人を訪ねたら、その守り神に侵入者と誤認されて襲われる! 神のような圧倒的な力があるので、すごく恐いです。読んでいる間ずっと砂のジャリという幻覚を足の裏や口に中に感じていて、砂に恐怖を覚えてしまいました。でも、比嘉琴子が幼少の時代の出来事にきっちりとオトシマエをつけてくれました。猫好きの私ですが、指笛に応えて駆けつけてくる場面では、"ワンコ、カッコいい!"と思ったのでした。2022/07/30
アッシュ姉
106
家中に砂砂砂ああああ!おかしいのはこの家か、住人か、それとも私か。澤村さん五冊目。比嘉姉妹シリーズ前日譚。今までで一番怖くなかったが、吸引力は変わらずで一気読み。それにしても琴子姉さんヘビースモーカーああああ。2020/11/04
-
- 和書
- 刑法総論 (第5版)