内容説明
離縁を望む女が駆け込む縁切寺、鎌倉・東慶寺。駆け込んできた姉弟は、厄介な事情を抱えていた。役人の妾にされた美しい姉・梓と、姉を想う以上の気持ちを隠して梓を守る弟・辰五郎。梓を囲ったのは東慶寺にとってまずい相手、寺社奉行だった―。寺を守るには姉弟を見捨てるしかないのか?寺を統べる水戸徳川の姫・法秀尼の下、女剣士・茜と個性豊かな寺の仲間が、駒け込み女達と寺のため奮闘する。人情と絆のシリーズ第2弾。
著者等紹介
田牧大和[タマキヤマト]
1966年東京都生まれ。明星大学人文学部英語英文学科卒。2007年「色には出でじ風に牽牛」(『花合せ 濱次お役者双六』に改題)にて第2回小説現代長編新人賞を受賞し、作家デビュー。著書多数(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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タイ子
96
鎌倉東慶寺、通称縁切寺。ここに駆け込むのは夫婦や許嫁の諍いばかりではない。今回は息子との仲が上手く行かず家を出たという訳ありの老女。家族の問題は切ない。そして、姉弟が駆け込む話は謎めいていて明らかになるほどに寺社奉行と東慶寺の関係が絡んできてサスペンスタッチで面白い。女剣士の茜とその仲間たちが絆と人情で駆け込み人を温かくも厳しく包むシリーズ第2弾。彼らにはこの場所があって本当に良かった。2020/03/03
雅
75
後が無くなった女性に手を差し伸べるだけじゃ無く、『巨悪と対峙する』そんな雰囲気になってきた。みんなの個性が視えてきてよりストーリーに入り込める。2020/04/09
あかは
61
今回のは三編中二つ目と三つ目が繋がってます。茜さんかっこいい‼️大活躍です。法秀尼さまもさすがです。すっとしたー!読後は後半の話に引き付けられますが、一つ目もなかなか切ないよいお話です。まあ、実際にはこうはうまく行かないのかもですが、お話の中だけでも皆がよかったね、と思えるのは気持ちがよいです。2020/03/29
のんちゃん
58
江戸時代、鎌倉縁切り寺、東慶寺での騒動を描く物語、第二弾。先に読んだ夫が「今作は前作以上に大スペクタクル!」と言っていたが、その通りで、東慶寺を統べる寺社奉行の悪巧みが絡む物語が主となる。でも絶対に勧善懲悪なのがわかっているので、安心して読める。新型コロナ蔓延で不安な気持ちの今、このような作品は大事。東慶寺を守る女剣士茜の活躍とだんだんにほぐれてくる心情をまだ読みたいので、続編を期待している。2021/11/14
kagetrasama-aoi(葵・橘)
47
「縁切寺お助け帖」の続編。前作に引続き、東慶寺に駆け込んだ女性達を助ける物語。副題の“姉弟ふたり”の梓と辰五郎の話が凄く素敵です。愛の形も色々なんですね。茜の前身、東慶寺の政治的な立場等のエピソードも語られ、読み応えがあり、且つ安定の勧善懲悪!読後感は極上です。続きが読みたいです。シリーズ化して欲しいです。2022/07/23