勿忘草の咲く町で―安曇野診療記

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  • サイズ 46判/ページ数 278p/高さ 19cm
  • 商品コード 9784041084229
  • NDC分類 913.6
  • Cコード C0093

出版社内容情報

看護師の月岡美琴は松本市郊外にある梓川病院に勤めて3年目になる。この小規模病院は、高齢の患者が多い。 特に内科病棟は、半ば高齢者の介護施設のような状態だった。その内科へ、外科での研修期間を終えた研修医・桂正太郎がやってきた。くたびれた風貌、実家が花屋で花に詳しい──どこかつかみどころがないその研修医は、しかし患者に対して真摯に向き合い、まだ不慣れながらも懸命に診療をこなしていた。ある日、美琴は桂と共に、膵癌を患っていた長坂さんを看取る。妻子を遺して亡くなった長坂さんを思い「神様というのは、ひどいものです」と静かに気持ちを吐露する桂。一方で、誤嚥性肺炎で入院している88歳の新村さんの生きる姿に希望も見出す。患者の数だけある生と死の在り方に悩みながらも、まっすぐに歩みを進める2人。きれいごとでは済まされない、高齢者医療の現実を描き出した、感動の医療小説!

内容説明

命の尊厳とは何か―?答えのない問いに必死で向き合う若き研修医と看護師の奮闘を描いた、感涙の連作短編集。

著者等紹介

夏川草介[ナツカワソウスケ]
1978年大阪府生まれ。信州大学医学部卒業。長野県にて地域医療に従事。2009年『神様のカルテ』で第10回小学館文庫小説賞を受賞しデビュー(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

zero1

350
死をどう受け止めるか。「神様のカルテ」同様、信州の病院を舞台に三年目の看護師と研修医が医療の現実にぶつかる。そこに正解はない。【死神】と呼ばれる内科医。【小さな巨人】にブリザード師長。患者を看取り胃瘻の是非に悩む。高齢者ばかりの病院で医療はどうあるべき?医師不足と医療過誤。花と安曇野の四季も織り混ぜる。【九兵衛】の登場と【引き】の変人内科医。読みやすいが内容は濃く、読者を楽しませる術をよく知る作者。カタクリはご都合主義だが読んで損なし。名台詞が満載(後述)。パン屋より花屋(笑)。続く?2021/07/01

うっちー

328
神様のカルテと錯綜してしまいました。高齢者医療問題が中心です。あと恋愛。こちらもシリーズ化するのでしょうか?2019/12/22

ウッディ

327
安曇野の病院で研修を行う桂は、高齢者医療の現実に直面する。激務をこなしながらも、花を愛し、自分らしさを失わない研修医の成長物語。「神様のカルテ」と同じように、優しく、芯の通った主人公、一癖も二癖もある指導医たちも、それぞれに真摯に命と向き合い、研修医の言葉に心動かされる、そんなシーンに痺れました。医療技術が発達し、延命法の選択肢が増えた今だから、高齢者医療について考えさせられる一冊でした。美しい自然と花、そして看護師の美琴との不器用な恋愛も爽やかで、シリーズ化してほしい良作でした。2020/08/10

kou

327
地方の高齢者医療の現実を垣間見れた気がした。キレイ事ではないよね・・・。4話目の胃瘻か看取りかのシーンの桂の説明にはちょっと震えた。是非、続編も執筆してもらいたい!2020/02/20

名古屋ケムンパス

306
著者の描く安曇野の地は清らかに澄み渡り、優しさと癒しを育んでいます。でも、この地で研修医となった主人公の桂の向き合う医療の現場は、過酷さを極めていました。小さな巨人と称えられた指導医の三島先生はこう語ります。「医療は今、ひとつの限界点にある。(それは)大量の高齢者たちをいかに生かすかではなく、いかに死なせるかという問題だ。」物語は、終末医療の在り方に苦悩する若き研修医が、正解のない解を求める葛藤と、気丈に振舞い彼を懸命に支える若き看護師との恋を限りなく清々しく描くのです。#ニコカド20202020/01/16

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