出版社内容情報
日常を静かに破壊する犯罪。 気づいたのは たった二人だけだった。
内容説明
失踪した公安警察官を追って、鑓水、修司、相馬の3人が辿り着いたのは瀬戸内海の小島だった。そこでは、渋谷で老人が絶命した瞬間から、思いもよらないかたちで大きな歯車が回り始めていた。誰が敵で誰が味方なのか。あの日、この島で何が起こったのか。穏やかな島の営みの裏に隠された巧妙なトリックを暴いた時、あまりに痛ましい真実の扉が開かれる。すべての思いを引き受け、鑓水たちは巨大な敵に立ち向かう!
著者等紹介
太田愛[オオタアイ]
香川県生まれ。「相棒」「TRICK2」などの刑事ドラマやサスペンスドラマの脚本を手がけ、2012年、『犯罪者 クリミナル』(上・下)で小説家デビュー(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
イアン
287
★★★★★★★★★★巨悪との対立軸が明確となる下巻。正光の過去を知る人物「白狐」の手掛かりを求めて辿り着いた瀬戸内海の離島で、鑓水らは島民がひた隠しにする〝何か〟の存在を確信する。あの日、この島で何が起きたのか。『犯罪者』では企業の利益主義を、『幻夏』では冤罪を生む司法の闇を描いていたが、本作では権力とジャーナリズムのあり方を深く考えさせられた。戦時中はマスコミが屈した言論統制の壁に、現代ならではのツールを駆使して対抗する鑓水らに関心するとともに、この作品をタブー度外視で描き切った著者にも敬意を表したい。2021/12/10
MF
242
この文庫化と時を同じくしてこんなニュースが流れました。この小説での登場人物と同じような思いをしてきた方々が現実にいたことを改めて思い出させてくれる、あるいは現実からの最後の警告かもしれないと感じました。<元特攻90代兄弟最後の証言、時代に迎合を悔恨「なぜ死ぬ覚悟で戦争に反対しなかったか」>https://news.mixi.jp/view_news.pl?media_id=2&from=voice&id=58743412019/11/23
のり
198
元・産科医の「正光」と「白狐」の関係が明らかになるにつれていたたまれなくなる。第二次世界大戦での苦悩は当事者でなければわからない。いくら時が経とうとも憤り、無念さが消えることはない。メディアや新聞の犠牲。国家権力の横暴。再び起こる圧力。「鑓水」達が知恵を絞り、何者にも屈しない姿勢に感服。子供達が自由に生きる世の中が最低限願うことだ。2020/09/23
やっちゃん
173
終盤すんなりいきそうなところ敵もさるもの最後までハラハラさせてくれる。戦時下の回想が特によかった。最後のエピソードには震えたし、そこに至る緻密なプロットはもちろん、社会派ミステリとしても深く刺さる素晴らしい一冊だった。2023/01/23
ごみごみ
142
登場人物が多く、なかなか接点が掴めず、どんどん話が複雑になっていく。権力と報道の在り方。そして未来への警鐘。壮大なテーマと膨大なページ数を、スリリングにしかもユーモアも交えて先へ先へ読ませる筆力が素晴らしい。3人の活躍は相変わらずだが、特に今作は鑓水がかっこよかった!「やるか、やられるかです」・・ラストで、冒頭の老人の奇妙な行動の謎が明らかに!感動&圧巻だった。時間がある時にじっくり読むのがオススメ。2020/02/29
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- 和書
- 写真 阿修羅のごとく