出版社内容情報
野山を渉猟する”生き物屋”が蒐集した、里山の妖しく不思議なお話。
内容説明
土地の人なら誰もが知る立ち入ってはならない場所は、なぜ封鎖されないのか?戦慄するその理由が語られる「ヱド」。ある風習の名前は、夏の夜空に明滅する数多の蛍が飛ぶさまを表している―哀切さに心打たれる「ほたるかい」。山奥の小さな集落にかつて存在したという、罪人を死に至らしめる湯の伝承を生物学的に解明する「カンヌケサマ」など、41篇。野山を渉猟し、昆虫や動植物を愛する“生き物屋”が蒐集した不思議な話。
著者等紹介
coco[ココ]
愛知県生まれ。漫画、文筆、写真家
日高トモキチ[ヒダカトモキチ]
宮崎県生まれ。漫画家、イラストレーター、よろず物書き。学習参考書の編集者を経てデビュー
玉川数[タマガワカズエ]
東京都生まれ。著書に『里山奇談 めぐりゆく物語』『里山奇談 あわいの歳時記』がある(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
MATSU
31
日本の山間部、里山にある不思議な話の短編集です。本当にあった話と言うか、伝聞が多く1つ1つが短いのであっと言う間に読めます。背筋がひんやりする話やほっとする話、又は山や里、川などに対して改めて感謝をと思う話でした。色々考えさせられました。2022/05/30
Nao Funasoko
30
自然の中に入ることに馴れている生き物屋さんが集めた記憶の標本(蒐集)。いわゆる怪談のようなおどろおどろしい怖さはさほではないがまさに奇談というしかない不思議な話ばかり41篇。外遊び好きな方にはおススメです。2020/04/16
瀧ながれ
27
怪談集。タイトルの通り、里山など人間の普段の生活から少しだけ離れた場所で出会った怪異が集められていて、だからもしかしたら簡単にそっちの世界にも入って行けちゃうんじゃないかと感じることが多かった。ただの恐怖ではなくて、少し前の日本人には日常的にあった違和感なんじゃないかな。冒頭の「観察会」が、巻頭を飾るだけのことはある不可解なハナシだった。うまく本の中に招いてくれたなーて思う。2020/04/26
小夜風
22
【所蔵】生き物屋と称される人たちが好きな昆虫や動植物を求めて出かけた野山で体験したり聞いたりした不思議な話。「里山」とあるように普通に人々が生活を営んでいる田舎の何処にでもある、本当に聞き覚えがある気がするような話が多かったです。野辺送りの話や暗渠の話、防火水槽とか、子どもの頃に実際に体験した様なこともたくさんあって、自分がこの本に出てくる里山みたいな田舎で育ったことを実感(笑)。怪異と言い切るには身近過ぎて、田舎ではあるあるだよね~と懐かしい気持ちで読みました。自分的には虫の話が一番怖かったです(笑)。2020/07/10
ラルル
15
虫屋、鳥屋、植物屋。生き物達の姿を求めて野山に分入った人々の不思議な話。夏の夕暮れ、ひぐらしの声を聴きながら読むのにピッタリの趣きのある怪談たちでした。竹書房のガツンとした怪談とは違う良さがあります。シリーズで出ているようなので他の巻も読んでみたいと思います2023/08/10