一投に賭ける―溝口和洋、最後の無頼派アスリート

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  • サイズ B6判/ページ数 232p/高さ 19cm
  • 商品コード 9784041027431
  • NDC分類 782.5
  • Cコード C0095

出版社内容情報

陸上界を貫き、競技を変えた漢を18年の歳月をかけて追った執念の取材!!「全身やり投げ男」。1989年、当時の世界記録からたった6センチ足らずの87メートル60を投げ、その後はWGP(世界グランプリ)シリーズを日本人で初めて転戦し、総合2位となった不世出のアスリート・溝口和洋。

■中学時代は将棋部。
■高校のインターハイではアフロパーマで出場。
■いつもタバコをふかし、酒も毎晩ボトル一本は軽い。
■朝方まで女を抱いた後、日本選手権に出て優勝。
■幻の世界新を投げたことがある。
■陸上投擲界で初めて、全国テレビCMに出演。
■根っからのマスコミ嫌いで、気に入らない新聞記者をグラウンドで見つけると追いまわして袋叩きにしたことがある。

 無頼な伝説にも事欠かず、まさに陸上界のスターであった。
 しかし、人気も体力も絶頂期にあり、来季のさらなる活躍を期待されていたにもかかわらず、90年からはパタッと国内外の試合に出なくなり、伝説だけが残った……。
 その男の真実が、25年の歳月を経て、いま初めて明らかとなる。
 
 プロとは? アスリートとは? 天才と秀才の差とは? 日本人選手が海外選手に勝つための方法とは? 
 大宅賞受賞作家の上原善広が18年間をかけて聞き取りを続けた、まさにライフワークと言える作品。18年間の関係から紡がれる、ノンフィクションとしては異例の一人称文体。

 泥臭い一人の漢の生き様から、スポーツ界が、社会が、昭和と平成の歴史が彩られていく。

プロローグ

第一章 発端

第二章 確立

第三章 挫折

第四章 復活

第五章 参戦

第六章 引退

エピローグ
著者あとがき

上原 善広[ウエハラ ヨシヒロ]
(うえはら よしひろ)1973年大阪府生まれ。ノンフィクション作家。大阪体育大学卒業後、ノンフィクションの取材・執筆を始める。日本各地の被差別部落を訪ねた『日本の路地を旅する』で、2010年、第41回大宅壮一ノンフィクション賞受賞。2012年、「孤独なポピュリストの原点」(特集『「最も危険な政治家」橋下徹研究』、新潮45)で、第18回編集者が選ぶ雑誌ジャーナリズム賞大賞受賞。著書に『被差別の食卓』、『被差別のグルメ』、『私家版 差別語辞典』、『石の虚塔』、『差別と教育と私』などがある。

内容説明

「全身やり投げ男」。一九八九年、当時の世界記録からたった六cm足らずの八七m六〇を投げ、WGP(ワールド・グランプリ)シリーズを日本人で初めて転戦した不世出のアスリート・溝口和洋。無頼な伝説にも事欠かず、スターであった。しかし、人気も体力も絶頂期にあった八九年の翌年からはほとんど試合に出なくなり、伝説だけが残った…。大宅賞受賞作家が一八年間をかけて聞き取りを続けたライフワーク作品。その関係から紡がれる異例の一人称文体。泥臭い一人の漢の生き様から、スポーツ界が、社会が、昭和と平成の歴史が彩られていく。

目次

第1章 発端
第2章 確立
第3章 挫折
第4章 復活
第5章 参戦
第6章 引退

著者等紹介

上原善広[ウエハラヨシヒロ]
1973年大阪府生まれ。ノンフィクション作家。大阪体育大学卒業後、ノンフィクションの取材・執筆を始める。日本各地の被差別部落を訪ねた『日本の路地を旅する』で、2010年、第41回大宅壮一ノンフィクション賞受賞。2012年、「孤独なポピュリストの原点」(特集『「最も危険な政治家」橋下徹研究』、新潮45)で、第18回編集者が選ぶ雑誌ジャーナリズム賞大賞受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

鉄之助

266
東京五輪が延期、コロナ禍で開催が危ぶまれている今だからこそ、この本を読めてホントに良かった。やり投げの溝口和洋は、平成が始まった年に、世界記録突破まであと6センチと迫った日本人として唯一の選手だった。が、その翌年、突如、競技人生を閉じる。その後、パチプロに。その謎を探って著者が18年をかけ、この1冊にまとめた。体格に劣る日本人が、世界に挑戦するとはどういうことか? 選手がなぜ、マスコミ嫌いになるのか? が明かされ、超面白かった。室伏広治が世界に挑戦できたのも彼の功績だったことも、初めて知った。感動。2021/05/26

おかむら

46
陸上競技の投擲種目、やり投げ。ハンマー投げは室伏がいるので多少は見たことあるけど、やり投げはなー…、と思ってたけど、このノンフめちゃめちゃ面白い! 一気読み! 溝口選手、もうなんか、スポーツマンというよりも勝負師や職人のよう。極め方がすごすぎてなんか向こう側に行ってる!オカシイ。そしてカッコよかった! ノンフなのに一人称形式ってのも効いてる。いいもん読んだ。「どうしようもない記者には鉄拳制裁あるのみ」だって! カッコいい!2016/12/20

さく

33
本当にやり投げに命を賭けてる。練習が過酷すぎる。毎日限界に挑んでいる。やり投げで良い記録が出せたら体なんてどうなってもいい。誰になんて言われても気にならない。味方なんていらない。そんな感じ。本を読むとたいていその本に出てきたことをやってみたくなるけど、これは全くならなかった。なんかもう、一線を超えている。やり投げを引退した後パチプロになったというのも面白い。2017/04/02

30
幻の世界記録を出し、WGPシリーズでは2位に入った伝説のやり投げ選手溝口和洋。やり投げの常識を覆し、やり投げに全てをかけた男。他人からどう言われようが、全く気にしない。肉体を超えた火事場の馬鹿力を毎日出す練習をする。死ぬ気でやれば人間なんでもやれるものだ。12時間以上に及ぶウェイトトレーニング、肘を痛めれば敢えていじめ抜き、痛みを感じなくなるまで投げ続ける。「試合では自分の感覚と可能性を信じるだけ。信じられないのなら練習をしてないということ」溝口から語られる言葉には重みがある。豪快で男が惚れる男だった。2020/10/30

チェアー

27
槍投げに人生の一時期を賭けたアスリートの物語。主人公については私はまったく知らなかった。業界では変人と嫌われていたようだが、この本を読んでみると当人は自分の限界に挑むことを最優先させていただけだと分かる。最近、なんか受けのいい競技者が多いように思うが、少し物足りない。江夏みたいな、ワシが考えてること、あんた分かりまんのか、というアスリートがもっといていい。この主人公のように限界を超えた人にはそれが許されるんじゃないのかなあ。2016/09/28

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